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アリアンスペース社は12月6日、通信衛星ディレクTV-14とGSAT-16の2機を搭載した、アリアン5 ECAロケットの打ち上げに成功した。アリアン5は今年6機目の打ち上げとなり、また連続打ち上げ成功数は63機となった。

ロケットは現地時間2014年12月6日17時40分(日本時間2014年12月7日5時40分)、南米仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターのELA-3から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約28分後にディレクTV-14を、またその約4分20秒後にGSAT-16を分離し、予定通りの軌道に投入した。

ディレクTV-14は、米国のディレクTV社の通信衛星で、スペース・システムズ/ロラール社が製造した。76基のKaバンド・トランスポンダーと18基のリバース・バンド・トランスポンダーを搭載し、西経99度の静止軌道から、米国全土やアラスカ、ハワイ、プエルト・リコなどにテレビ放送を提供する。寸法は5.0 x 2.2 x 2.4mで、打ち上げ時の質量は約6,300kgという大型の衛星だ。設計寿命は15年が予定されている。

GSAT-16はインド宇宙研究機関(ISRO)の通信衛星で、ISROと、その関連機関であるISROサテライト・センター(ISAC)によって開発された。12基のKuバンド・トランスポンダーと、24基のCバンド・トランスポンダーを搭載し、東経55度の静止軌道から、インド亜大陸全域に対して通信サービスを提供することを目的としている。寸法は3.1 x 1.7 x 2.0mで、打ち上げ時の質量は3,180kg。設計寿命は12年が予定されている。

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アリアン5は、エアバス・ディフェンス&スペース社が開発、製造しているロケットで、中でもECA型はアリアン5シリーズの最新型で、また主力機として活躍中のロケットだ。今回の打ち上げ成功により、アリアン5シリーズは通算63機、またアリアン5 ECAに限っても46機の連続成功となった。

アリアン5は、それまでアリアンスペース社が運用していたアリアン4ロケットを代替する目的で開発された。アリアン4は116機が打ち上げられ、失敗はわずか3機で、成功率97.4%という極めて高い信頼性を持つロケットだったが、1970年代に開発されたアリアン1を改良して造られたロケットであり、次第に性能が時代に追いつけなくなってきた。

アリアン5の検討は1984年から始まったが、当時は米国がスペースシャトルを打ち上げ始めた頃であり、欧州でも小型のスペースシャトル、エルメスの検討が始まっていた。そこでアリアン5には、エルメスを打ち上げられる、強力な打ち上げ能力を持つロケットになることが求められた。

だが、エルメスは開発を進めるにつれて、質量が目標を大きく超過するようになった。それに合わせてアリアン5の打ち上げ能力も増やされ、さらにエルメスの質量が増加すると、またそれに合わせてアリアン5の打ち上げ能力も増やされるという事態に陥った。その後、結局エルメスは開発が中止され、欧州の手元には、強力すぎる打ち上げ能力を持ったアリアン5ロケットだけが残った。

しかし、禍を転じて福と為すの言葉のように、この過大な能力を生かして、静止衛星を2機同時に搭載して打ち上げるアイディアが生み出され、その目論見は的中し、現在世界で最も成功している商業ロケットになった。

アリアン5の初期型であるアリアン5Gは、1996年6月4日に打ち上げられたが、爆発し、失敗に終わる。翌1997年10月30日に打ち上げられた2号機も、予定より高度が低い軌道に衛星を乗せる失敗を起こし、さらに1年後の1998年10月21日に打ち上げられた3号機でようやく成功を収めた。

その後、2002年12月11日には打ち上げ能力を増したアリアン5 ECAが登場し、こちらも1号機は失敗したものの、その後はすべて成功を収めている。その他、アリアン5G+、5GSといったバリエーションも存在し、またアリアン5 ESは欧州の宇宙ステーション補給機ATVの打ち上げに使われ、今後も航法衛星ガリレオの打ち上げで使われることになっている。

また現在、第2段をさらに改良し、打ち上げ能力を高めた、アリアン5 MEの開発が行われている。アリアン5 MEで開発された技術は、さらに次世代のロケットであるアリアン6にも活かされる予定だ。

 

■Arianespace – Press Release – Arianespace VA221 launches satellites for the United States and India
http://www.arianespace.com/news-press-release/2014/12-6-2014-VA221-success-launch.asp

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