三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月16日、17日に予定していた「H-IIB」ロケット5号機の打ち上げを延期すると発表した。17日に天候の悪化が予想されるためで、新しい打ち上げ予定日は8月19日に再設定された。

H-IIBロケット5号機は、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を補給する「こうのとり」5号機を搭載し、2015年8月17日21時35分54秒に、種子島宇宙センターから打ち上げられる予定だった。

しかし、最新の気象情報から、天候が悪化することが予想されたことから、打ち上げを19日に延期することを決めたという。打ち上げ時刻については、ISSの軌道などの関係上、今後の調整によって決定される。

また、今後の天候状況の変化などによっては、さらに延期となる可能性もあるとしている。なお、打ち上げができる予備期間は、9月30日まで確保されている。

三菱重工によると、延期の主な原因は雷だという。ロケット打ち上げ時の制約条件には「発射前および飛行中において、機体が空中放電(雷)を受けないこと」と定められており、17日の天候がこの条件に抵触する可能性があったため、延期を決定したとしている。

また18日にではなく、19日に再設定された理由は、「中2日ルール」と呼ばれる制約によるものだという。これは、打ち上げ日をあらかじめ、地元(種子島など)の自治体や、航空機や船舶の運航機関や会社などに通達するために、中2日の期間が必要と定めているもので、つまり16日に延期を決定した場合、打ち上げを再設定できる最短日は、17日と18日を挟んだ19日となる。

また三菱重工によると、現在の予報では、19日には天候が回復することが見込まれていることから、まず打ち上げに支障は出ないだろうという。ただ、今後の天候状況の変化などによっては、さらに延期となる可能性もあるとしている。

「こうのとり」5号機には、水や食料、生活用品をはじめ、実験装置、またISSのシステムで使われる部品など、およそ約5.5トンもの補給物資が搭載されている。打ち上げ後、「こうのとり」5号機は約15分で地球をまわる軌道に入り、およそ4日後にISSに到着する。そして物資の搬出作業が行われた後、ISSで発生したゴミや、不要になった実験機器などを搭載し、9月下旬にISSから離脱。その翌日に大気圏に再突入して燃え尽き、ミッションを終える予定となっている。