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アリアンスペース社は7月15日(クールー時間)、通信衛星「スター・ワンC4」と気象衛星「MSG-4」の2機を搭載したアリアン5 ECAロケットの打ち上げに成功した。アリアン5 ECAの打ち上げは50機目となり、連続成功数は49機、打ち上げ成功率は98%となった。また、アリアン5ロケット全シリーズでは80機目の打ち上げとなり、連続成功数は66機となった。

ロケットはクールー時間2015年7月15日18時42分(日本時間2015年7月16日6時42分)、南米仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターの第3アリアン発射場(ELA-3)から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約28分15秒後にスター・ワンC4を、続いてその約12分後にMSG-4を正常に分離した。

スター・ワンC4は、ブラジルの大手通信事業者エンブラテル社の子会社スター・ワン社が運用する通信衛星で、スペース・システムズ/ロラール社が製造した。48本のアクティヴKuバンドのトランスポンダーを搭載しており、西経70度に静止軌道から、ブラジル、南米諸国、メキシコ、米国に向けて、通信や衛星放送、インターネット・サーヴィスを供給する。打ち上げ時の質量は約5.6トンで、設計寿命は約15年が予定されている。

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MSG-4は、欧州気象衛星開発機構(EUMETSAT)が運用する静止気象衛星で、タレス・アレニア・スペース社が製造した。西経3.4度に静止軌道で運用され、欧州をはじめ、レユニオンを含むアフリカ一帯、大西洋地域、南米大陸の東側一帯に、観測データを供給する。打ち上げ時の質量は約2トンで、設計寿命は7年が予定されている。

衛星は円柱形をしており、自身が回転することで姿勢を安定させるスピン安定方式が採られている。昔の通信衛星や気象衛星ではよく用いられた方式だが、近年では三軸姿勢制御方式などが普及したため、珍しくなっている。1号機のMSG-1は2002年に打ち上げられ、MSG-2は2005年、MSG-3は2012年に打ち上げられており、今回のMSG-4で最終号機となる。現在、MSGの後継機となる、より高性能なMTG-IとMTG-Sという2種類の衛星の開発が行われており、2019年以降に順次、打ち上げられる計画となっている。

アリアン5は、エアバス・ディフェンス&スペース社が開発、製造しているロケットで、アリアンスペース社によって運用されている。今回の打ち上げに使われたECA型は、アリアン5シリーズの中でも主力機として使われている機体である。

アリアン5シリーズは今回を含めて80機が打ち上げられており、そのうちロケットが爆発、墜落したり、衛星を予定通りの軌道に投入できなかったりといった明確な失敗を4度起こしており、成功率は約94.9%ほどである。しかし、現行のアリアン5 ECAは、50機の打ち上げの中で失敗は1号機のみで、2号機以降の49機は連続で成功しており、成功率98%という高い信頼性を持っている。またアリアン5シリーズ全体では66機連続成功を続けている。

アリアン5 ECAは現在、静止衛星の商業打ち上げ市場の約半分のシェアを握っているが、米国などではアリアン5より安価なロケットが出現しつつある。そこで、2020年代に向けてその地位をさらに確固たるものにするため、より打ち上げ能力を高め、一方でコストを約半額に抑えた後継機「アリアン6」の開発が始まっている。

今回の打ち上げ成功に際し、アリアンスペース社の代表取締役会長兼CEOのステファン・イズラエル氏は次のように述べた。

「アリアンスペース社はスター・ワンC4およびMSG-4の2機の衛星打ち上げに成功したことを誇りに思います。エンブラテル社およびEUMETSATの、当社に対する変わらぬご愛顧にお礼申し上げます。国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を数ヶ月後にひかえ、人々の生活向上および持続可能な発展への貢献ができることを光栄に思います。また、今年6回目の打ち上げ成功に貢献してくださった皆様に心から感謝を申し上げます」。

 

■Arianespace - Press Release - VA224: Arianespace launches two geostationary satellites, for telecom services and meteorology
http://www.arianespace.com/news-press-release/2015/7-15-2015-VA224-launch-success.asp

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