アリアンスペース社は現地時間6月22日、地球観測衛星「センティネル2A」を搭載した、「ヴェガ」ロケットの打ち上げに成功した。今回の成功により、ヴェガはデビュー以来、5機連続での打ち上げ成功となった。

ロケットはギアナ現地時間2015年6月22日22時51分58秒(日本時間2015年6月23日10時51分58秒)、南米仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターのヴェガ発射場(ELV)から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから54分43秒後に衛星を分離し、所定の軌道に投入した。

センティネル2Aは、欧州委員会が立ち上げた全地球的環境・安全保障監視計画「コペルニクス」に基づいて開発された衛星で、光学センサーを搭載し、地球を観測する。欧州はコペルニクス計画によって、全地球の観測網を構築し、継続的で自立した、信頼性の高いデータを取得し、欧州の安全・安心を充実させる一方で、地球環境保全や気候変動に関わる現象の理解など、広範囲におけるミッションやサービスをカヴァーすることを目的としている。

製造はエアバス・ディフェンス&スペース社が担当した。寸法は3.3 x 2.3 x 1.7mで、打ち上げ時の質量は1130kg。高度786kmの太陽同期軌道で運用される。機器などの設計寿命は7.25年だが、燃料12年分が搭載されており、設計寿命を過ぎた後も機器が生きていれば運用を延長することが予定されている。

今回の打ち上げ成功に際し、アリアンスペース社のステファン・イズラエル CEOは「年末には国連気候変動パリ会議(COP21)が開催されます。コペルニクス計画の衛星を開発することで持続可能な開発のサポートを志す欧州の行動に、当社も貢献できることを誇りに思っています。2014年4月、ソユーズで センティネル1Aを打上げ、このたびヴェガによりセンティネル2Aを目標軌道へ打ち上げました。お客様、パートナーの皆様、関係各所の皆様のサポートに心より感謝します」と述べている。

ヴェガは欧州宇宙機関(ESA)とイタリアのアヴィオ社が開発した固体燃料ロケットだ。アリアンスペース社では大型ロケットのアリアン5、中型ロケットのソユーズ、そして小型ロケットのヴェガとロケットを揃え、多種多様な衛星の打ち上げに対応できるようにしている。ただ、ヴェガは小型ロケットという分類ではあるが、高度700kmの太陽同期軌道に1500kgほどの打ち上げ能力を持つことから、世界の他のロケットと比べると、どちらかというと中型に近い打ち上げ能力を持つ。

ヴェガ・ロケットは2012年2月13日に1号機が打ち上げられて以来、今回が5機目の打ち上げとなり、すべて成功を収めている。また11月ごろには、重力波観測衛星「LISA」の技術実証機である「LISAパスファインダー」の打ち上げも予定されている。

またヴェガは、ここ数か月の地球観測衛星市場においても多くの受注を獲得しており、2015年に入ってからは、アラブ首長国連邦の衛星「ファルコン・アイ」、ペルーの「ペルーサット1」、グーグル/スカイボックス・イメージング社の複数の衛星「スカイボックス」の、3件の打ち上げ契約を獲得している。アリアンスペース社によると、受注残シェアは市場の70%を超えているという。

ヴェガは2012年にアリアンの打ち上げ機ファミリーに加わり、アリアンスペース社はヴェガの信頼性を市場が認めると確信し、2014年10月にロケットメーカーのアヴィオ社とイタリア宇宙機関(ASI)が構成するELVコンソーシアムから、10機のヴェガを一括購入している。

また、2014年末には、打ち上げ能力を強化したヴェガ・コンソリデーテッド(ヴェガC)の開発も決定されている。

 

■Arianespace - Mission Update - The fifth Vega success: Confirming Arianespace's commitment to European space access, and to the Earth's sustainable development
http://www.arianespace.com/news-mission-update/2015/1308-success.asp