宇宙旅行会社のスペース・アドヴェンチャーズ社は5月13日、今年9月に国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙旅行を計画していた英国の歌手サラ・ブライトマンさんの「飛行計画を延期する」と発表した。これにより、バックアップ・クルーとして訓練を続けていた、日本人の高松聡さんが代わりに宇宙へ行く可能性が高まった。

ブライトマンさんは声明の中で、延期の理由を「個人的な家族の事情」としている。また、あくまで延期であり、宇宙旅行をあきらめたわけではないという。ブライトマンさんの宇宙旅行をサポートしているスペース・アドヴェンチャーズ社のエリック・アンダースン氏は「彼女はこれまで宇宙飛行に向けた訓練を続けてきており、訓練や医学の検査にもすべて合格している。私たちは彼女の今回の決定を全面的に支持すると共に、将来の宇宙飛行の実現に向け、今後もサポートを続けたい」と語っている。

ブライトマンさんは2012年に、スペース・アドヴェンチャーズ社と契約し、ISSへの宇宙旅行を実施すると発表。以来、ロシアなどで飛行に必要な訓練を続けていた。自己資金で宇宙に行く宇宙旅行者(宇宙飛行参加者)としては史上8人目になる予定で、ISSでは宇宙ライヴを開催したり、宇宙教育をしたいとの希望も語られていた。予定では、今年9月1日のソユーズTMA-18M宇宙船で、正規の宇宙飛行士2人らと打ち上げられ、9月12日までISSに滞在した後、それまでISSに滞在していた別の宇宙飛行士2人と共に、先に係留してあるソユーズTMA-16M宇宙船で帰還することになっていた。

ブライトマンさんが飛行を延期したことで、これまでブライトマンさんのバックアップ・クルーとして訓練を続けていた、日本人の高松聡さんが代わりに宇宙へ行く可能性が高まった。バックアップ・クルーとは、プライム・クルー(正規クルー)にケガや病気など、何らかの理由で飛行ができなくなってしまった場合に、そのクルーの代わりに飛行に宇宙に行けない何らかの事情が発生した際に、代わりに宇宙に行くために準備されているもので、打ち上げの直前でも交代ができるよう、プライム・クルーとほぼ同様の訓練を受けている。高松さんは今年1月から訓練を受けている。

公式プロフィールによると、高松さんは1963年生まれで、大手広告代理店の電通に入社し、数多くの広告を手掛けたという。また2001年には、宇宙開発事業団(当時)と共同で、ISSを利用して大塚製薬の『ポカリスエット』のCMを制作した。2005年には宇宙映像制作会社のSPACE FILMSを設立し、日清食品の『カップヌードル』や、光学・電子機器メーカーのオリンパスのCMでもISSを利用。現在は宇宙旅行代理店SPACE TRAVELの代表も務めているという。

 

■Space Adventures, Ltd. | Sarah Brightman postpones spaceflight plans
http://www.spaceadventures.com/press_releases/sarah-brightman-postpones-spaceflight-plans/