ファルコン9ロケット、地上局の問題で打ち上げ延期 2月11日朝へ

スペースX社は2月8日(現地時間)、人工衛星DSCOVRを搭載したファルコン9ロケットの打ち上げについて、ロケットの追尾に使われる米国空軍のレーダー施設に問題が発生したため、延期すると発表した。

また24時間後の2月9日は天候不良が予測されることから、新しい打ち上げ日時は米東部標準時2015年2月10日18時5分(日本時間2015年2月11日8時5分)に設定されている。また予備日として、米東部標準時2015年2月11日18時3分(日本時間2015年2月12日8時3分)も確保されている。

2月8日の打ち上げ作業では、途中までは順調に進んでいたものの、打ち上げの2分30秒前にロケットの追尾に使われる米国空軍のレーダー施設に問題が発生し、打ち上げが可能な時間はこの1秒間しかないことから、延期が決定された。

また、ロケットに搭載されている、ビデオ・カメラの映像を送信する装置が壊れていたため、この延期を利用して交換する作業が実施された。同社のイーロン・マスクCEOはTwitterで、「この装置は、打ち上げそのものにとって必要というわけではないが、あるに越したことはないもの」と説明している。

今回ファルコン9が打ち上げるDSCOVRは、米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気庁(NOAA)が開発した衛星で、太陽・地球系のラグランジュ第1点から地球と宇宙天気を観測する。ファルコン9にとって、地球低軌道よりも遠い軌道へ人工衛星を打ち上げるのは今回が初となる。

そして前回に続き、ロケットの第1段機体を無人の船の上に降ろし、回収する試験も実施される。前回の試験では、降下中の機体を制御する安定翼を動かすための作動液が途中で切れてしまったため、今回は50%多く搭載するという。予定通りいけば、離昇から9分後に、第1段が船の上に降り立つ予定だ。

また前回の試験では、ロケットが着地に失敗したことで船の甲板上が損傷してしまったが、すでに修理は完了し、船の名前である「Just Read The Instructions」の文字も、新たに甲板上に書き込まれている。

スペースX社では、ロケットを旅客機のように再使用することで、打ち上げ費用を劇的に引き下げることを目指しており、まずはロケットの第1段機体を再使用することを計画している。その前段階として、これまでに何度か、ロケットの第1段を大西洋上に着水させる試験を行い、続いて船の上に着地させる試験へと移行している。

ロケットを再使用すること自体は不可能ではないものの、それによって打ち上げ費用が本当に劇的に下がるのか、ということについては懐疑的な声も多い。しかし実現すれば宇宙輸送に革命が起こることから、多くの期待が寄せられている。

 

■Deep Space Climate Observatory
https://blogs.nasa.gov/dscovr/