ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は11月5日、来月4日に予定されているデルタIVヘビー・ロケットの打ち上げに向けた予行を実施した。

ロケットは10月1日からすでに発射台に立てられており、以来組み立てや整備が行われていた。そしてこの日、実際の打ち上げと同じ手順で推進剤を充填し、ロケットや地上設備の機能を確認するウェット・ドレス・リハーサル(WDR)と呼ばれる予行が実施され、無事に完了した。

デルタIVヘビーは今回、米航空宇宙局(NASA)の新型宇宙船オリオン(Orion)の試験機を搭載して打ち上げられる。オリオンは現在、NASAとロッキード・マーティン社が開発中の宇宙船で、「NASAの宇宙船」としてはスペースシャトルの後継機にあたる。地球低軌道までにしか人を運べなかったスペースシャトルとは違い、オリオンはアポロ宇宙船のように月へ、そしてさらにその先の火星や小惑星へも人を運ぶことができる宇宙船として開発が進められている。

今回のミッションはEFT-1(Exploration Flight Test-1)と呼ばれており、オリオン試験機を高度約5,800kmにまで到達する楕円軌道に投入する。オリオンはそこから秒速約9kmで大気圏に再突入し、太平洋上に着水する。この試験により、オリオンの電子機器や耐熱システム、パラシュートなどが設計通り機能するかが確認される。

すでにオリオンも完成しており、宇宙飛行士が搭乗するクルー・モジュールと、太陽電池パドルや生命維持システム、スラスターなどが集まるサービス・モジュール、そして緊急時の脱出システムなどが結合された状態にある。ただし、今回のミッションは無人での試験飛行で、またクルー・モジュールの耐熱システムやパラシュートなどの機能確認が主目的であるため、サービス・モジュールや脱出システムは同じ質量で造られたダミーで、機能はしない。

11月10日にもロケットの頭の部分に、オリオン宇宙船試験機が搭載される予定だ。準備が予定通り進めば、米東部標準時2014年12月4日7時5分から9時35分(日本時間2014年12月4日21時5分から23時35分)の間に打ち上げられることになっている。

このEFT-1が完了した後、得られたデータからさらにオリオンの開発が進められ、そして2018年11月に探査ミッション1(EM-1、Exploration Mission 1)が実施される予定となっている。EM-1でもオリオンは無人だが、打ち上げるロケットには、現在オリオンと並行して開発が行われている新型ロケットのスペース・ローンチ・システム(SLS)が使われる。EM-1では地球から月まで行き、月の裏側を回って地球に帰還するルート(自由帰還軌道)での飛行が行われ、オリオンの全システムと、SLSの能力が試験される。

EFT-1とEM-1が無事に完了すれば、いよいよ次はオリオンに実際に宇宙飛行士を乗せた、有人飛行が行われる予定となっている。

 

■Launch Teams Rehearse Fueling, Countdown | Orion
https://blogs.nasa.gov/orion/2014/11/05/launch-teams-rehearse-fueling-countdown/