10月31日に発生したスペースシップツーの墜落事故について、調査を担当している米国家運輸安全委員会(NTSB)は11月4日、本来なら帰還時に使用される「フェザリング・モード」と呼ばれる体勢へ、予定よりも早く移行してしまったためではないかとする見方を示した。
この事故は10月31日、試験飛行を行っていたスペースシップツーが何らかの理由で墜落し、搭乗していた2人のパイロットのうち1人が死亡、もう1人が重傷を負ったというものだ。
事故が起きた当初は、新しく開発されたロケットモーターが初めて使用されていたことや、また地上からの目撃者が「爆発したように見えた」と証言したことなどから、ロケットモーターの爆発などが原因ではないかと疑われていた。しかし、地上に落ちた残骸を調べたところ、ロケットモーターのケースやタンクには、爆発した痕跡はなかったという。
そして、テレメトリー・データを分析したところ、予定より早く「フェザリング・モード」になったことが明らかになったという。フェザリング・モードとは、本来であれば宇宙からの帰還時に使用されるモードで、主翼の後ろ半分を立てることで、降下時のスピードの増加を抑えつつ、機体を安定させた状態で降下を行うことができる。原理としてはバドミントンのシャトルと同じだ。
このシステムは普段はロックされており、通常の手順では、機体のスピードがマッハ1.4を超えた段階でロックを解除することになっているという。しかし今回の飛行においては、何らかの理由でマッハ1.0辺りでロックが解除されてしまい、さらに機体の周囲を流れる空気の作用によって不意に主翼が立ち上がったという。その結果、機体に予期しない負荷がかかり、空中分解したのではないか、とされる。
またロックが解除された理由としては、この事故で死亡したパイロットのマイケル・アルスベリー(Michael Alsbury)氏が、スペースシップツーの速度がマッハ1.0を少し超えた時点で、ロックを解除するためのレバーを動かしていたのを、コクピット内にあったカメラが撮影していたという。
ただし、NTSBによる調査はまだ進行中で、墜落の原因も、またパイロットのミスによるものとも、断定されたわけではない。
■Statement from Virgin Galactic
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