ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は10月29日、航法衛星GPS IIF-8を搭載したアトラスVロケットの打ち上げに成功した。今回はアトラスVによって50機目の打ち上げとなり、また連続成功数は40機となった。
ロケットは米国東部夏時間2014年10月29日13時21分(日本時間2014年10月30日2時21分)、米国フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションのSLC-41から離昇した。
ロケットは順調に飛行し、約4分9秒後にセントール上段を分離し、直後にセントールは第1回の燃焼を開始した。そして約13分後に燃焼を終え、慣性飛行に移り、その3時間後に第2回燃焼を開始。約1分30秒後にエンジンを止め、その約5分後に衛星を分離した。
GPS IIF-8はカーナビやスマートフォンなどでおなじみのGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を構成する衛星で、GPS IIFはGPSの衛星としては第4世代に当たる。前世代機と比べ、搭載されている原子時計の正確さが上がり、それによって測位もより正確にできるようなっている。
今回打ち上げられたのはその8号機で、今後も順次、旧世代機からの入れ替えが進められていく予定だ。
GPS IIF-8はボーイング社が製造し、運用は米空軍が担当する。打ち上げ時の質量は1,630kgで、高度20,200km、傾斜角が55.0度の円軌道を周回する。設計寿命は15年が予定されている。
打ち上げに使われたアトラスVは、ロッキード・マーティン社によって開発されたロケットで、ボーイング社のデルタIVロケットと共に、ロッキード・マーティン社とボーイング社の共同出資で設立されたULA社によって運用されている。
アトラスVは今回で50機目の打ち上げとなった。これまでに2007年に一度予定より低い軌道に衛星を投入してしまった以外は、安定した成功を続けており、今回で40機連続での成功ともなった。
今回の打ち上げに使われたのはアトラスV 401と呼ばれる構成で、これはフェアリングの直径が5m、固体ロケットブースターは装備せず、セントール上段にRL10エンジンが1基、ということを示している。
アトラスVの第1段には、ロシアのNPOエネルゴマシュ社が製造したRD-180エンジンが使われており、このエンジンを巡っては米国の国内、またロシア側からも、その使用や輸出に関して揉めている状況が続いている。ロシアのロゴージン副首相は、軍事衛星の打ち上げにロシア製エンジンの使用を禁止することも匂わせており、今後、今回のような軍事衛星の打ち上げにアトラスVが使えなくなる可能性があることから、現在米国製の代替エンジンを開発する動きが始まっている。
ULA社の次回の打ち上げは、NASAのオリオン宇宙船の試験機を搭載したデルタIVヘビー・ロケットとなる。打ち上げ日時は米東部標準時2014年12月4日7時5分(日本時間2014年12月4日21時5分)に予定されている。
■United Launch Alliance Successfully Launches 50th Atlas V Rocket - United Launch Alliance
http://www.ulalaunch.com/ula-atlas-v-launches-gps-iif-8.aspx