オービタル・サイエンシズ社は10月28日、シグナス補給船運用3号機(Orb-3)を搭載したアンタレス・ロケットの打ち上げに失敗した。

ロケットは米東部夏時間2014年10月28日18時22分(日本時間2014年10月29日7時22分)、米ヴァージニア州にある中部大西洋地域宇宙港(MARS)の0A発射台から離昇した。しかしその数秒後にエンジン付近から爆発を起こし、そのまま発射台の上に墜落した。

発射台周辺では大きな火災が広がっており、現在も消火活動が続いている。なお、けが人は現時点では確認されていないとのことだ。

シグナスOrb-3には、国際宇宙ステーション(ISS)への補給物資として、2,290kgの水や食料、実験機器などが搭載されていた。今回の失敗により、ISSに滞在している宇宙飛行士の活動に影響が出るかはまだ不明だ。

原因はまだ明らかにはなっていないが、ロケットの第1段エンジンに何かが起きたことは間違いないようだ。

アンタレスの第1段にはAJ-26というロケットエンジンが使われている。AJ-26は米国のエアロジェット・ロケットダイン社が製造したエンジンだが、もとを辿れば、現在のクズネツォーフ社が、今から40年ほど前に開発、製造し、その後倉庫で保管されていたNK-33というエンジンである。米国はそれを輸入し、アンタレスに装着するために細かな改修を施しただけであり、実質ソヴィエト製といえるものだ。また第1段のタンク等の構造物は、ウクライナにあるユージュノイェ社が製造しており、気圧調整用のガスが入るタンクやバルブ、センサー、配管、配線類などのハードウェアも、ユージュノイェ社が製造を担当している。

なお、今回との関連があるかはまだ不明だが、今年5月には、AJ-26が地上燃焼試験中に爆発する事故が起きている。

 

■Orbital Evaluating Mission Status | Orbital

最終更新日:2024/09/02

関連記事