12月4日に予定されている、新型宇宙船オリオン(Orion、より正確な発音はオライオン)の試験機を打ち上げるデルタIVヘビー・ロケットが、10月1日に発射台に立てられた。これからハイ・フィデリティ・リハーサルと呼ばれる、ロケットに実際に推進剤を充填して行われる打ち上げの予行などを行い、続いてオリオン宇宙船試験機の搭載や試験などが行われる予定だ。

ロケットは9月30日(現地時間)の夜に組立棟を出発し、水平に倒された状態で発射台まで運ばれた。そして10月1日にロケットを立て、モバイル・サービス・タワーの中に収められた。

H-IIAやアリアン5、ソユーズなど、他の多くのロケットは、まず組立棟の中でロケットを完成させ、それを発射台へと運ぶという運用がされているが、デルタIVは未完成の状態でロケットを発射台に立て、そこに可動式の整備塔、すなわちモバイル・サービス・タワーを持ってきて、その中で衛星の搭載など、最後の組み立てや試験が行われる。そして発射前には、モバイル・サービス・タワーを発射台から移動させる。

デルタIVヘビー、現在世界中で運用されているロケットの中で、もっとも大きな打ち上げ能力を持つロケットで、地球低軌道に約20t、静止トランスファー軌道へは約13tのペイロードを運ぶことができる。

その外見も、デルタIVの第1段を、その両脇に1基ずつ装備させ、計3基の第1段が並んで飛んでいくという、見た目からしてパワーアップしたことが分かりやすい、壮観なものである。2004年12月にデビューして以来、現在までに7機が打ち上げられている。なお初打ち上げでは衛星を予定より低い軌道に投入してしまい、完全な成功とは言い難い結果に終わっている。

今回のミッションでデルタIVヘビーが運ぶのは、NASAの新型宇宙船オリオンの無人の試験機だ。このミッションはEFT-1(Exploration Flight Test-1)と呼ばれており、オリオン試験機を高度約5,800kmにまで到達する楕円軌道まで打ち上げる。オリオンはそこから秒速約9kmで大気圏に再突入し、太平洋上に着水する。この試験により、オリオンの電子機器や耐熱システム、パラシュートなどが設計通り機能するかが確認される。

打ち上げは現時点で、米東部標準時2014年12月4日7時5分から9時35分(日本時間2014年12月4日21時5分から23時35分)に予定されている。

 

■Delta IV Heavy Rocket Moved to Launch Pad for Orion’s Exploration Flight Test - United Launch Alliance
http://www.ulalaunch.com/ula-moves-eft-1-delta-iv-heavy-to-launch-pad.aspx?title=United+Launch+Alliance+Moves+Delta+IV+Heavy+Rocket+to+Launch+Pad+for+Orion%E2%80%99s+Exploration+Flight+Test+