中華人民共和国は9月28日、技術試験衛星「実践十一号07星」を搭載した長征二号丙ロケットの打ち上げに成功した。

ロケットは、中国標準時2014年9月28日13時13分(日本時間2014年9月28日14時13分)、酒泉衛星発射センターの第2発射台から離昇した。その後、中国政府や中国国家航天局は「打ち上げは成功した」と発表した。

また米国の宇宙監視ネットワークは、この時間帯に新たな物体が軌道上に追加されたことを探知している。その情報によれば、実践十一号07星と思われる衛星は、現在高度約684 x 706km、軌道傾斜角98.7度の軌道を周回している。

中国政府の公式発表によれば、実践十一号07星は航天東方紅衛星有限公司によって製造された衛星で、宇宙空間での科学実験や、新しい技術の試験を行うとされる。しかし多くの専門家は、軍事目的の衛星であると見ており、おそらくは赤外線センサーでミサイルの発射などを検知する、早期警戒衛星ではないかとされる。

実践十一号シリーズは2009年11月12日に1号機が打ち上げられ、今回で7機目となる。ただし2011年8月18日に打ち上げられた4号機は、ロケットが墜落し、打ち上げは失敗に終わっている。打ち上げに成功した6機は、今回とほぼ同じ高度、軌道傾斜角の軌道を回っており、おそらくコンステレーションを組んでいるものと思われる。

長征二号ロケットは、もともと返回式衛星(FSW)と呼ばれるフィルム回収式の偵察衛星を打ち上げる手段として、当時開発が進められていた大陸間弾道ミサイル「東風5」を基に造られた。

最初に開発された機体である長征二号は2段式のロケットで、地球低軌道に2tの打ち上げ能力を持っていた。1974年11月5日に1号機の打ち上げを試みるも離昇20秒後に爆発、失敗に終わる。原因はジャイロからの信号を伝達するケーブルに問題があったためと記録されている。

その後、改修を施した長征二号甲が登場した。長征二号甲は基本的に長征二号と同じ機体だが、長征二号の失敗の原因となったケーブル部に手が加えられている。1975年11月26日に1号機が打ち上げに成功し、FSWを軌道に乗せた。その後1978年1月26日までに全3機が打ち上げられた後、引退した。

またその後、打ち上げ能力を高めた長征二号丙が登場した。見た目は長征二号、長征二号甲と似ているが、改良により、地球低軌道への打ち上げ能力が2.4tにまで向上している。FSWなどの他、イリジウム衛星など他国の商業衛星を打ち上げるロケットとしても使われ、第3段として固体ロケットを装着した構成や、また近年は打ち上げ能力を4tまで高めた改良型も登場した。1982年9月9日に初飛行し、現在も運用されている。

 

Source

  • 中国国家航天局 - 我国成功发射实践十一号07星