スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)社は9月20日、ドラゴン補給船運用4号機(CRS-4)を搭載したファルコン9 v1.1ロケットの打ち上げに成功した。ファルコン9は今回で13機目の打ち上げとなり、また前回の打ち上げからわずか14日で、同じ射点から同じロケットの打ち上げに成功したことになる。
ロケットは米東部夏時間2014年9月21日1時52分(日本時間2014年9月21日14時52分)、フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションのSLC-41から離昇した。ロケットは順調に飛行を続け、約9分後にドラゴンCRS-4を軌道に投入した。また、米国の宇宙監視ネットワークは、ドラゴンCRS-4が、高度約205 x 360km、傾斜角51.6度の軌道の、ほぼ予定通りの軌道に投入されていることを確認している。
当初打ち上げは、1日前の9月20日に予定されていたが、悪天候のため延期されていた。
ドラゴンCRS-4は今後単独で飛行を続け、約2日後の23日7時30分(日本時間23日20時30分)に、国際宇宙ステーション(ISS)のハーモニー・モジュールに結合される予定だ。
ドラゴンCRS-4にはISSへの補給物資として、約2,270kgの水や食料、実験機器などが搭載されている。その中には、宇宙で実験に使われる20匹のネズミや3Dプリンターも含まれている。ドラゴンが生物を運ぶのは今回が初、また3Dプリンターが宇宙に持ち込まれるのは史上初のことだ。
またNASAジェット推進研究所(JPL)が開発したRapidScatと呼ばれる、海面上の風を観測する機器も搭載されている。これはISS到着後、ドラゴンから取り出され、コロンバス・モジュールに設置される。
ドラゴンCRS-4は、ISSに約1ヶ月間滞在した後、10月中旬に出航する予定だ。そして約1,720kgの積荷と共に、太平洋上に帰還する。
ドラゴン補給船は今回で6度目の飛行となり、また米航空宇宙局(NASA)とのISSへの商業輸送サービス契約の下で行われる商業補給サービスとしては4度目となる。
ファルコン9はスペースX社によって開発されたロケットで、打ち上げ機数は今回で13機目、今年に入ってからは6機目の打ち上げとなった。ただし、6号機から使われているファルコン9 バージョン1.1には、1号機から5号機まで使われたバージョン1.0から大幅な改良が加えられており、まったく異なるロケットといっても良い。
今回の打ち上げ成功で、この10週間で4機の打ち上げに成功したこととなり、さらに前回のアジアサット6の打ち上げからはわずか14日しか経っていない。これはスペースX社のロケットにとって最短記録だ。
打ち上げ後の記者会見に立った同社のHans Koenigsmann氏は、この14日間での打ち上げに関して「私自身も非常に驚嘆している。スタッフはとても良く働いた。ただ、最短7日間で打ち上げることも可能だ」と述べた。
なお以前、今回のミッションでは、今年7月の打ち上げ以来となるロケットの第1段の回収試験が行われると予告されていたが、何らかの事情で、別の打ち上げで使用されるはずだった着陸脚のない第1段と交換されたため、実施されなかった。
スペースX社では今後、今年中にあと2回のファルコン9の打ち上げと、また有人宇宙船ドラゴンV2の、脱出システムの試験を計画している。
■NASA Cargo Launches to Space Station aboard SpaceX Resupply Mission | NASA
http://www.nasa.gov/press/2014/september/nasa-cargo-launches-to-space-station-aboard-spacex-resupply-mission-0/#.VB6ISxbSltY