カザフスタン共和国にあるロシアのバイコヌール宇宙基地で9月4日、今月28日に予定されているプロトンMロケットの飛行再開に向けた準備が始まった。
プロトンMは今年5月16日に、通信衛星エクスプレースAM4Rを搭載した打ち上げに失敗して以来、飛行停止となっている。この時の失敗の原因は、ロケットの第3段に4基装備されているヴァーニア・エンジンRD-0214の、ターボ・ポンプのベアリングが破損したためであると見られている。RD-0214は、第3段のステアリング(舵取り)を司っている。
約4ヶ月ぶりの飛行再開となる今回、搭載される衛星はルーチ(Луч、光線などの意)と名付けられたデータ中継を行う通信衛星とされる。製造はJSC ISSレシェトニェーフ社が担当している。
だが、ルーチという名前の衛星は、1985年から1994年までに4機が打ち上げられており、近年もルーチ5Aや5B、5Vといった後続機が打ち上げられていることから、改めて単にルーチという通し番号のない名前の衛星を打ち上げるのはいささか奇妙な話だ。
ロシアのコメルサント紙の報道によれば、ルーチにはもうひとつ、オリーンプ(Олимп、オリンポス山の意)という名前も与えられており、データ中継の他、レーダーやミサイルの誘導電波などの電磁波を傍受し、情報収集を行う、いわゆるELINTミッションも担っているとされる。
今後出てくるであろう情報や、打ち上げ後にロシア連邦宇宙局やロシア国防省などがどのような反応を見せるかが注目される。
■На Байконуре идет подготовка к пуску ракеты-носителя «Протон-М» с космическим аппаратом «Луч»
http://www.federalspace.ru/20896/