1989年8月25日、米航空宇宙局(NASA)の探査機ボイジャー2が海王星の近くを通過、史上初の探査を行った。それからちょうど25年目の2014年8月25日、冥王星の探査を目指して航行を続けているNASAの探査機ニュー・ホライズンズが海王星の軌道を越えた。
ニュー・ホライズンズは史上初となる冥王星の探査を目指して、2006年1月19日に地球から旅立った。以来、8年8ヶ月間に渡って宇宙を航行し続けている。現在、地球から約44億2570万km離れたところを飛んでおり、これは地球と太陽の間の、約27倍もの距離になる。
海王星軌道を通過したのは米東部夏時間2014年8月25日22時4分(日本時間2014年8月26日11時4分)のこと。海王星との距離が遠かったため、ボイジャー2による観測の時ほど鮮明な写真は撮れなかったが、それでも同機に搭載されたカメラは、海王星と、その衛星のひとつトリトンを捉えることに成功した。
今後もニュー・ホライズンズは航行を続ける。目的地である冥王星を通過し、観測するのは2015年7月14日の予定だ。
ニュー・ホライズンズはNASAとジョンズ・ホプキンズ大学応用物理研究所、サウスウエスト・リサーチ・インスティテュートによって開発された探査機で、これまで探査機による詳細な探査が行われたことがない、最後の太陽系惑星であった冥王星と、その衛星カロンの近くを通過し、観測を行うことを目的としている。
探査機は米東部標準時2006年1月19日14時00分(日本時間2006年1月20日4時00分)、アトラスV 551ロケットによって打ち上げられた。551構成は固体ロケット・ブースターを5基装備した最強バージョンで、通常は重い衛星の打ち上げで使われるものだが、ニュー・ホライズンズの打ち上げ時の質量は、わずか465kgしかなかった。また第3段にスター48Bと呼ばれる固体ロケット段を装備したこともあり、打ち上げ直後の速度は16.5km/sという、とてつもないものであった。なお、この年の8月24日には、冥王星は太陽系の第9惑星から外れ、準惑星のひとつとなっている。
そして火星軌道、小惑星帯を通過し、2007年2月28日に木星をスウィング・バイし、さらに加速した。続いて土星、天王星の軌道を通過し、海王星まで到達した。
今後は、2015年2月ごろから観測機器を使い、冥王星の観測を開始する。そして徐々に接近し、2015年7月14日に冥王星と衛星カロンに最接近する。通過後は、データを地球に送信しつつ、太陽系外縁のエッジワース・カイパーベルト天体の探査にも挑む。そしてゆくゆくはヴォイジャー1のように太陽圏を脱出し、星間空間を旅することになる予定だ。
■New Horizons Web Site - New Horizons Crosses Neptune Orbit En Route to Historic Pluto Encounter
http://pluto.jhuapl.edu/news_center/news/20140825.php