米空軍が運用する、米国防総省の即応宇宙作戦局の偵察衛星ORS-1が、運用開始から4年を迎えた。ORS-1は即応宇宙作戦局の衛星として初の、そして現時点で唯一の実用衛星で、設計寿命として予定されていた1年を大きく超え、運用が続けられている。
ORS-1は20122年6月30日、ミノタウロスIロケットに搭載されて打ち上げられた。衛星は高度400km、軌道傾斜角40度の軌道に入り、運用が始まった。
ORS-1は、宇宙から撮影した地表の画像を、地上に即座に届けることを目的とした衛星だ。従来の偵察衛星は、画像を撮影し、地上で解析するのに時間がかかるため、リアルタイムに軍の作戦に生かすことができなかったが、ORS-1は戦場で今まさに戦っている軍隊に、素早く、そして直接カラー写真を送り届けることができる。使い方としては無人偵察機に近いが、宇宙空間にいるため制空権を無視して飛べるという利点がある。
もちろん、具体的にどのように生かされているかは明らかにはされていないが、米中央軍や、米陸軍などに、情報・監視・偵察(ISR、Intelligence, Surveillance and Reconnaissance)能力を提供し続けているとされ、アフガニスタンやイラクでの作戦でも活用されたという。
衛星の製造はグッドリッチ(現ユナイテッド・テクノロジーズ・コーポレーション(UTC)エアロスペース・システムズ)社が担当。衛星バスはアライアント・テックシステムズ(ATK)社が提供した。打ち上げ時の質量は約475kg。衛星の眼である光学センサーは、高高度偵察機U-2に搭載されたSYERS-2に改良を施したものが搭載されている。衛星は設計からロケットへの引き渡しまで、わずか30ヶ月で行われた。
同局はすでに、ORS-1はすべての目標を達成し、計画は成功としている。また2015年には合成開口レーダーを搭載したORS-2の打ち上げも予定されている。
■ORS-1 Satellite Enters Fourth Year on Orbit - Jul 28, 2014
Last Updated on 2024/09/02