エアバス・ディフェンス&スペース社は5月1日から4日にかけて、スペースプレーンの実験機(SpacePlane demonstrator)の飛行実験を、南シナ海において実施した。

実験はシンガポール沖、約100kmの南シナ海上で行われた。この実験機は実機の1/4の大きさをしており、AS350エキュレイユに吊るされて高度3,000mまで運ばれた。そこから切り離され単独飛行を開始、地上からの操縦によって飛行したのち、無事に地面に着陸。その後回収された。

同社のスペースプレーンは、エアバス社の前身の一つ、EADSアストリウム社が2006年に提案したもので、それをエアバス社が引き継ぎ、開発を続けている。同機は普通のビジネスジェット機の後部にロケットエンジンを取り付けたような格好をしており、4名の乗客を乗せることができる。

構想によれば、離陸から高度12kmまではターボファン・ジェット・エンジンで通常の飛行機のように飛行し、そこからメタンと液体酸素を推進剤とするロケットエンジンに点火し高度60kmまで一気に上昇、慣性飛行で弾道を描きながら高度100kmに到達したのち降下、高度15kmで再びターボファン・ジェット・エンジンを起動させ、通常の飛行機のように着陸する。一回の飛行時間はおよそ90分、無重力状態となるのはおよそ3分間。運賃は一人当たり20万ユーロ(現在のレートで約2,800万円)ほどと設定されている。機体のコンセプトや飛行プロファイルは、すでに破産したロケットプレーン社が開発していたロケットプレーンXPに良く似ている。

実現すれば、ヴェージン・ギャラクティック社のスペースシップツーと競合することになるが、現時点で今後の展望や、宇宙旅行を始める具体的な時期などについては、明らかにされていない。

 

■Global Website - Tests completed for Airbus Defence and Space’s SpacePlane demonstrator in South China Sea
http://www.airbus-group.com/airbusgroup/int/en/news/press.20140603_airbus_defence_and_space_spaceplane.html