宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の2枚ある太陽電池パドルのうち1枚のパドル回転が停止したと発表した。それにより現在は観測が停止しているが、観測の継続は可能であり、5月30日にも再開されるとしている。
「いぶき」は2009年1月23日に打ち上げられた衛星で、高度約660kmの軌道上から、温室効果ガスとして知られる二酸化炭素の濃度分布を観測し、気候変動の予測精度の向上や、環境問題の対応への貢献などを目的としている。すでに設計寿命の5年を超えており、定常運用を終え、今年2月から後期利用運用と呼ばれる、設計寿命を超えて観測を継続する期間に入っていた。
太陽電池パドルとは、太陽光で発電する太陽電池が貼り付けられた板のことで、その根本にはモーターがあり、パドルが常に太陽の方向を向くように回転する仕組みになっている。「いぶき」にはこの太陽電池パドルが、衛星の両側に翼のように2枚装着されており、今回不具合が起きたのは、そのうちの1枚。そのため発生電力が約半分となり、観測が自動的に停止したという。
ただし、発生電力が約半分であっても、今後の運用継続に必要な電力は確保できるとのことで、5月30日にも観測が再開されるとしている。また太陽電池パドル以外の衛星状態は正常とのことだ。
なお定常運用中にも、No. 2と呼ばれる側の太陽電池パドルの駆動部が故障しており、駆動系を冗長側に切り替えて運用が続けられていた。今回の故障との関係は不明だが、復旧できないということは、今回故障したのはこのNo. 2の冗長側である可能性が高い。
■温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測停止と再開について|最新情報一覧|いぶき(GOSAT)|人工衛星プロジェクト|くらしに役立つ人工衛星を開発する第一衛星利用ミッション本部
http://www.satnavi.jaxa.jp/project/gosat/news/2014/140527.html