ロシアのフルーニチェフ社は16日早朝、通信衛星エクスプレースAM4Rを積んだプロトンM/ブリーズMロケットの打ち上げに失敗した。プロトンMは昨年7月にも打ち上げに失敗しており、低迷が叫ばれるロシアの宇宙開発の信頼性が、さらに揺らぐこととなった。

エクスプレースAM4Rを搭載したプロトンM/ブリーズMは、カザフスタン時間3時42分01秒(日本時間2014年5月16日6時42分01秒)、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の200/39発射台から離昇した。しかし、ロケットの第3段に何らかの問題が発生し、打ち上げは失敗に終わった。

現時点では情報が錯綜しており、打ち上げ失敗に至った経緯は明らかではない。いくつかの報道によれば、第3段のロケットエンジンの燃焼が予定より早く停止してしまった、また第2段と第3段の分離時点で何か問題が発生したといった情報が流れている。

現在、ロケットから送られてきたデータを分析し、原因の究明が行われている。

エクスプレースAM4Rは、ロシアのロシア衛星通信社(RSCC)によって運用される予定だった衛星で、エアバス・ディフェンス&スペース社(旧EADSアストリウム社)によって製造された。約15年間に渡り、ロシアやその周辺国に通信サービスを提供する予定だった。

エクスプレースAM4RのRという文字から分かるように、この衛星はエクスプレースAM4の代替機に当たる。そのエクスプレースAM4は2011年8月に、やはりプロトンM/ブリーズMで打ち上げられたが、最上段のブリーズMが途中で故障し、予定通りの軌道に入れず、その後放棄し、大気圏に再突入させられ、処分された。その後、その穴を埋めるため今回のエクスプレースAM4Rが急遽発注されたわけだが、その望みはこうして果たされることはなかった。

プロトンの打ち上げ失敗は、ここ10年に限っても9回発生しており、信頼性の低さは否めない。もちろん、プロトンはほぼ毎月1機のペースで打ち上げられており、打ち上げ回数が多い分、失敗の数も増えることは確率からして必然ではあるものの、ここまで頻発し、かつ失敗後に何らかの対策が取られても再び失敗が起こり、さらにそれを繰り返している現状からすると、やはりプロトンの信頼性は低いと言わざるを得ない。

 

■О пуске ракеты-носителя "Протон-М"
http://www.federalspace.ru/20580/

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