3月6日、米国フロリダ州のケープ・カナベラル空軍ステーションに、米航空宇宙局(NASA)の新型有人宇宙船オリオンの試験機を打ち上げるための、デルタIVロケットのブースターが到着した。打ち上げは9月に予定されている。
オリオンは現在NASAとロッキード・マーティン社が開発中の宇宙船で、「NASAの宇宙船」としてはスペースシャトルの後継機にあたる。地球低軌道までにしか人を運べなかったスペースシャトルとは違い、オリオンはアポロ宇宙船のように月へ、そしてさらにその先の火星や小惑星へも人を運ぶことができる宇宙船として開発が進められている。
オリオンの初飛行は今のところ、2014年9月18日に予定されている。この初飛行は探検飛行試験1(Exploration Flight Test 1、EFT-1)と呼ばれており、大型の人工衛星の打ち上げで使われているデルタIVヘビーロケットに、無人のオリオンを搭載して打ち上げ、地球周回軌道を1周した後、最大で高度約6,000kmにまで達する軌道を飛行、そして秒速約9kmで大気圏に再突入し、太平洋に着水する計画だ。これによって、オリオンの電子機器や耐熱システム、パラシュートなどが設計通り機能するかが試験される。
今回到着したのは、そのデルタIVヘビーで使われるブースターだ。デルタIVヘビーは、通常のデルタIVロケットの第1段の両脇に、さらに第1段をくっつける形で、打ち上げ能力を増強させたロケットだ。
その後はEFT-1の結果を受けてさらに開発が続けられ、2017年12月17日には新型ロケットSLSを使ってのオリオンの試験飛行が実施される予定だ。探検ミッション1(Exploration Mission 1、EM-1)と呼ばれるこの飛行は、無人のオリオンを月まで飛ばし、裏側を通過してほぼ1周した後、地球に帰還させる計画である。
そして2021年には探検ミッション2(EM-2)が実施される予定となっている。EM-2では4人の宇宙飛行士を乗せたオリオンをSLSで打ち上げ、月周回軌道で4日間を過ごした後、地球に帰還する、計14日間のミッションになる計画だ。
■Boosters for Orion’s Launch Vehicle Arrive to Cape Canaveral · Lockheed Martin
http://www.lockheedmartin.com/us/news/press-releases/2014/march/0306-ss-orion.html