米国航空宇宙局(NASA)のチャールズ・ボウルデン長官は8日、国際宇宙ステーション(ISS)の運用が、少なくとも2024年まで延長されると発表した。

1998年に建造が始まったISSは、これまで2020年までの運用が予定されていたが、今回オバマ政権が4年の延長分に必要な予算処置を認めた。延長には、年間約30億ドルがかかるとされ、またISSの耐用年数からすると、最大で2028年まで延長することも可能とされる。

ボウルデン長官はblogの中で、今回の延長の決定を歓迎するとし、NASAが計画する小惑星や火星への有人飛行に向けた長期の宇宙滞在の研究に役立つほか、ISSでの化学、医学的な成果のさらなる社会への還元、また民間企業による宇宙輸送のさらなる活発化、そして有人宇宙開発における米国の優位性の維持などに期待すると述べている。

ISSに参加する他国の反応は、公式にはまだ明らかになっていない。

ロシアは以前よりISSの延長にどこよりも意欲を燃やしており、米国らが撤退した場合でも、ロシア側のモジュールを中心に分離、独立し、OPSEKと呼ばれる宇宙ステーションを構築する計画を提案したりもしていた。当然ながらロシア単独で宇宙ステーションを維持するのは大変であろうから、今回の延長は歓迎するであろう。

欧州宇宙機関は、すでにNASAの新型宇宙船オリオンのサービス・モジュールの開発を担うことを決めており、有人宇宙開発に関しては、おそらくNASAと歩調を合わせることになろう。ただし2020年以降のISSに、どの程度関与するのかはまだ不明だ。

日本の宇宙開発戦略本部や宇宙政策委員会は、有人宇宙開発に対してあまり前向きではなく、ISSに関しては2016年以降、経費を節減することを明言している。昨年には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が宇宙飛行士の新規採用を当面凍結するとの報道もなされた。今回のNASAの発表を受けて、国としてどのような判断をするかが注目される。

また2020年以降は、中国が独自の宇宙ステーション「天宮」を完成させる予定で、実現すれば、2020年代は大型の有人宇宙ステーションが2機、軌道上に存在することになる。

くしくも今から30年前、1984年1月25日は、当時のロナルド・レーガン大統領が一般教書演説の中で、恒久的な有人宇宙ステーションを10年以内に完成させると宣言した日でもある。そのステーションは後にフリーダムという愛称で呼ばれるも計画は幾度も変更され、最終的に現在のISS計画へと引き継がれることとなった。

 

■Obama Administration Extends International Space Station Until at Least 2024 | NASA Administrator
http://blogs.nasa.gov/bolden/2014/01/08/obama-administration-extends-international-space-station-until-at-least-2024/