先日打ち上げられたプログレスM-21M補給船が11月29日、国際宇宙ステーション(ISS)のズヴェズダ・モジュールにドッキングした。プログレスM-21Mには新型の自動ドッキング・システムが搭載されていたが、ISSへのアプローチ中に問題が発生し、結局はISSに滞在している宇宙飛行士によるマニュアル操縦でのドッキングとなった。
プログレスM-21Mは11月26日に、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。同機にはISSへの補給物資の他に、クールスNAと呼ばれる、新型の自動ドッキング・システムが搭載されていた。
従来のプログレスやソユーズ宇宙船にはクールスAと呼ばれる装置が搭載されているが、電子機器をロシアではなくウクライナの企業が製造していること、アンテナが展開式であり、展開機構に起因する故障がたびたび発生したこと、またクールスA自体が1980年代の古い設計であるなど、いくつかの問題を抱えていたことから、ロシア国内で生産でき、またアンテナを固定式にし、かつ数も減らして消費電力を抑えた、クールスNAが開発された。
クールスNAは2012年に打ち上げられたプログレスM-15Mで初めて試験された。同機にはクールスAとNAの両方が搭載され、まずクールスAでいつも通りにドッキングした後、一度ISSから分離し、クールスNAの試験が行われた。このときは一度クールスNAが起動せず延期されたが、その後船内温度が予想より低いことが判明、船内のヒーターを入れることでクールスNAの起動に成功し、再ドッキングも成功した。
今回のプログレスM-21MではクールスAは搭載されず、クールスNAの本格的なデビューとなった。11月27日にはクールスNAが起動され、ISSに約1.6kmまで接近する試験が行われ、問題なく終わった。
そして29日、いよいよドッキングの日を迎え、プログレスM-21Mは順調にISSに近づいていった。しかし、60mまで近づいたところでクールスNAに問題が発生し、急遽TORUと呼ばれる手動で操縦するシステムに切り替えられた。こうした場合に備えて待機していたオレッグ・コトフ(アレーク・コータフ)宇宙飛行士の操縦によって、協定世界時29日22時30分(日本時間30日7時30分)に無事ドッキングした。
クールスNAの問題の原因は今の段階では明らかになっていない。
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