オービタル・サイエンシズ社は19日、全29機もの小型衛星を搭載したミノタウロスIロケットを打ち上げた。

ミノタウロスIは米国東部標準時11月19日20時15分(日本時間20日10時15分)、米国バージニア州のワロップス島にある中部大西洋地域宇宙港(MARS)の0B発射台から離昇した。
今回の打ち上げの主目的は、米空軍によって開発されたORS-3と呼ばれる、ロケットの第4段に装着された電子機器の実証試験と、同じく米空軍によって開発された小型衛星STPSat-3を軌道へ送り込むことにあった。また合計28機ものキューブサット(超小型衛星)も搭載しており、離昇から約12分後、ロケットは計画通りSTPSat-3を軌道に投入、その後同乗していた28機のキューブサットも放出し、打ち上げは完璧な成功に終わった。

ORS-3は米空軍によって開発された電子機器で、これはロケットの自律飛行、すなわち地上からの追跡や誘導などの支援を必要とせず、自らの判断で正確な軌道へ向けて飛行し、万が一の際には飛行の中断も行えるシステムであり、実機での試験を行う目的で搭載された。実用化されれば、打ち上げに係る費用と、打ち上げまでの日数を大幅に削減することができるという。ORSとは米国防総省の即応宇宙作戦室(Operationally Responsive Space Office)のことで、同室は戦争などが発生した際に、迅速に衛星を打ち上げることができるシステムの開発を行っており、こういった装備は必須となろう。

STPサット3はボール・エアロスペース&テクノロジーズ社によって製造された衛星で、米空軍の宇宙&ミサイル・システム・センターによって運用される。プラズマ、電離圏、地球大気への日射量の測定を目的とし、特に日射量の測定は、2011年に打ち上げに失敗した地球観測衛星グローリーが行うはずだったものの弔い合戦となる。機体の質量は180kgと小型の衛星で、スタンダード・インターフェイス・ビークル(SIV)と呼ばれる衛星バスが用いられ、わずか47日間で製造された。

その他、搭載されていたキューブサットは以下の通り(アルファベット順)。

・ブラック・ナイト1(米陸軍士官学校)
・ケープ2(ルイジアナ大学)
・チャージャーサット(アラバマ大学)
・コッパー(セント・ルイス大学)
・ドラゴンサット1(ドレクセル大学)
・ファイアフライ(NASA/米国立科学財団)
・H2(ハワイ大学)
・KYサットII(ケンタッキー宇宙コンソーシアム)
・NPS-SCAT(米海軍大学院)
・ORSテック(ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所)x 2機
・ORSES(ORS室/陸軍宇宙&ミサイル防衛コマンド)
・フォーンサット2.4(NASAエイムズ研究センター)
・プロメテウス(ロス・アラモス国立研究所)x 8機
・センス(ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所)x 2機
・ステアB(ローレンス・リバモア国立研究所)
・スワンプサット(フロリダ大学)
・トレイルブレイザー(ニュー・メキシコ大学)
・TJ3サット(トーマス・ジェファソン高校)
・バーモント・ルナー・キューブサット(バーモント・テクニカル大学)

 

■Orbital Successfully Launches Minotaur I Rocket Supporting ORS-3 Mission for the U.S. Air Force
http://www.orbital.com/NewsInfo/release.asp?prid=1876