アメリカ航空宇宙局(NASA)は7月16日、国際宇宙ステーション(ISS)で同日行われた船外活動で、宇宙飛行士のヘルメット内に水が漏れるトラブルが発生し、開始からわずか1時間32分で中断されたと発表した。

発表によると、同日に行われた船外活動は第36次長期滞在クルーのクリストファー・キャシディ宇宙飛行士とルカ・パルミターノ宇宙飛行士が担当し、約6時間かけて、補助電源装置の取り付けとロシアの新しい実験モジュールの受入準備作業を行う予定だった。しかし、船外活動開始からわずか1時間で、パルミターノ宇宙飛行士のヘルメット内部で水のようなものが漏れ出し、徐々に増えているのが報告され、船外活動が急きょ中断された。

NASAは今回のトラブルについて、パルミターノ宇宙飛行士の呼吸に問題なく、健康被害も今の所確認されていないと説明しているが、一歩間違えば大惨事になっていた。

無重力環境において、水はしたたり落ちず、皮膚に付着したまま、全体に広がる特徴を持っている。もし顔全体に水がかかると、簡単に顔から離れず、窒息する恐れもある。特にヘルメット内のような狭い環境だとなおさら危険だ。これについて、NASAジョンソン宇宙センターの船外活動責任者のカリーナ・エバーズレー(Karina Eversley)氏も「もし水が大量に漏れた場合、パルミターノはほぼ間違いなく溺死していただろう。我々は彼の冷静な判断と勇敢の行動を称えなければならない」と認めている。

水漏れの原因は今の所まだ特定されていないが、船外活動用の宇宙服には飲料水のほか、温度調節用の冷却水なども搭載されている。パルミターノ宇宙飛行士の話では、漏れた水は普通の飲料水とは異なる味がしたという。

なお、新しい船外活動の日程はまだ決まっていない。

 

■Tuesday Spacewalk Ended Early
http://www.nasa.gov/content/tuesday-spacewalk-ended-early/index.html