世界初の船外活動(宇宙遊泳)を行った旧ソ連の宇宙飛行士アレクセイ・レオーノフ氏が、ユーリ・ガガーリンの死の真相を明かした。ロシアの各メディアが11日報じた。
ガガーリンは1961年4月12日に人類初の宇宙飛行士を行った後、生ける伝説として持て囃される毎日からのストレスで、一時は酒に溺れ不倫に走るなどの荒れた生活を送るも、その後宇宙飛行士の訓練施設のある星の街で後進の指導に当たり、また戦闘機パイロットとしての資格を再取得するため飛行訓練も再開するなど、徐々に自分の生活を取り戻しはじめていた。しかし1968年3月27日、飛行教官のヴラジーミル・セリョーギンと共にMiG-15UTIジェット練習機で飛行中に墜落、帰らぬ人となった。
なぜガガーリンらの乗った飛行機は墜落したのか、ということについては長年に渡って様々な説が出されており、ときには政治的陰謀を背景とする他殺説まで囁かれるほどであった。これは当時のソビエト政府が情報をあまり公にしなかったこと、出てくる情報も疑ってかかる必要があったことが理由として挙げられよう。また、そもそも飛行機事故というものは原因究明が難しいこともあり、当時のソビエト政府ですら正確な原因を掴むことができていたかも定かではない。
今回レオーノフ氏が明かした事故原因というのは、ガガーリンらの乗ったMiG-15のすぐそばを、無許可で飛び立った大型の超音速戦闘機Su-15が通過、その煽りを受けてコントロールを失い、きりもみ状態になり墜落した、というものだ。
現在、公式の原因とされているのは、鳥や気球を避けようとして操縦を誤り墜落したというもので、これは2011年4月に機密扱いから外された当時の事故調査委員会の報告書にそのように記載されている。しかしレオーノフ氏は「そのような結論は一般人ならともかく、専門家にとっては到底信じられるものではない」と真っ向から否定している。なお、レオーノフ氏はその事故調査委員会の一員であった。
また2005年には、故障あるいは前に乗っていたパイロットのミスにより、コクピットの通気口が開いたままとなっており、飛行中に酸素不足に陥り意識を失い、墜落したという新説も登場した。
他の飛行機が原因という説が出てきたのはこれが初めてではない。2004年に出版されたレオーノフ氏の著書(アメリカのデイヴィッド・スコット宇宙飛行士との共著)の中でもこの説については触れられており、また同時に、公式の調査結果に記載されているレオーノフ氏の証言が捏造されていたことも明かされている。
1988年には、ソビエト共産党の機関紙であったプラウダ紙が、地上の管制官のミスによって、ガガーリンらの乗ったMiG-15のすぐ傍を超音速戦闘機MiG-21が通過、その煽りでコントロールを失い墜落したという、政府による再調査結果を報じている。また機体は異なるが、超音速戦闘機のSu-11が近くを飛んでいたという証言もあり、他の飛行機が原因とする説は十分ありえる話だ。
今回のレオーノフ氏の証言の中でもっとも目新しいのは、ガガーリン機の近くを通過したとされるSu-15のパイロットが現在も生きているという点だ。レオーノフはその人物について名前などを明かさないことを条件に真相を話す許可が得られたと話しているが、その人物はソビエト連邦英雄の称号を得ており、現在80歳で存命ではあるものの、しかし健康状態は芳しくないということは明かしている。
■Death of Yuri Gagarin demystified 40 years on — RT News
http://rt.com/news/gagarin-death-truth-revealed-674/