宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月19日23時48分、夜間中緯度電離圏領域における電波伝搬解析を目的とした小型観測ロケット「S-310-40号機」を、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げました。S-310型ロケットの打ち上げは、2009年1月にノルウェーで実施されて以来、約2年ぶりとなります。

ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約60秒後に観測を開始。210秒後には最高高度180kmに到達し、予定された全ての観測ミッションを無事に完了しました。その後、内之浦の南東海上に安全に落下しました。

今回の観測では、高度103km付近で電子密度の高い領域を捉え、予想されていた高密度プラズマ領域の存在を確認しました。これにより、夜間中緯度電離圏における電波伝搬特性の理解が深まることが期待されます。今後、取得したデータを基に、より広範囲な空間での電子密度構造やプラズマダイナミクスの詳細な解析が行われる予定です。

JAXAの担当者は、「今回の成功は、我々の電離圏研究における大きな一歩であり、今後の宇宙科学の発展に貢献するものです」とコメントしています。

S-310ロケットについて

S-310ロケットは、JAXAが開発した単段式の固体燃料観測ロケットで、全長7.1m、直径0.31mを有します。最大高度は約200kmに達し、大気や電離圏の科学観測に広く利用されています。今回のミッションは、電離圏における電波伝搬のメカニズム解明や、将来的な衛星通信やGPSナビゲーションシステムの精度向上に寄与するものとされています。

 

Source

  • JAXA - S-310-40号機 打上げ結果について

文/sorae編集部