ヴァージン・ギャラクティック、「スペースシップツー」7回目にして最後の商業宇宙飛行に成功
【▲ Galactic 07ミッションでエンジンを点火して上昇するVirgin Galacticの宇宙船「VSS Unity」(Credit: Virgin Galactic)】

アメリカの民間企業「Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)」は日本時間2024年6月9日未明、宇宙船「SpaceShipTwo “VSS Unity”(スペースシップツー「VSSユニティ」)」による同社7回目の商業宇宙飛行ミッション「Galactic 07」を実施しました。

6名のクルーを乗せたVSS Unityは高度80km以上の宇宙空間(※)へ到達した後に、無事地上へ帰還したことが同社から発表されています。

※…国際的には高度100km以上が宇宙と定義されていますが、米空軍は高度80km以上と定義しています。

Galactic 07ミッションでエンジンを点火して上昇するヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)の宇宙船「VSS Unity」
【▲ Galactic 07ミッションでエンジンを点火して上昇するVirgin Galacticの宇宙船「VSS Unity」(Credit: Virgin Galactic)】

Virgin Galacticによると、空中発射母機「White Knight Two “VMS Eve”(ホワイトナイトツー「VMSイブ」)」に吊り下げられたVSS Unityは、日本時間2024年6月8日23時31分(アメリカ山岳部夏時間同日8時31分)にアメリカ・ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカを離陸。高度4万4562フィート(約1万3580m)で母機から切り離されると自身のエンジンで最大速度マッハ2.96まで加速・上昇し、準軌道飛行(サブオービタル飛行)を行った後の日本時間6月9日0時41分にスペースポート・アメリカへ着陸しました。最高到達高度は54.4マイル(約87.5km)とされています。

商業宇宙飛行として最後の宇宙飛行ミッション

今回のGalactic 07はVirgin Galacticにとって2024年1月に実施された「Galactic 06」に続く12回目、商業宇宙飛行としては7回目の宇宙飛行ミッションでした。また、今回は2023年11月の「Galactic 05」以来3回目となる“準軌道科学実験室”としてのミッションでもあり、推進剤の挙動を研究するための装置(パデュー大学)と微小重力環境下における新しい3D印刷技術をテストするための装置(カリフォルニア大学バークレー校)が搭載されました。

Galactic 07ミッションで準軌道飛行中のVSS Unityのキャビンの様子「VSS Unity」(Credit: Virgin Galactic)
【▲ Galactic 07ミッションで準軌道飛行中のVSS Unityのキャビンの様子「VSS Unity」(Credit: Virgin Galactic)】

クルーは6名で、1名は研究者、3名は民間宇宙飛行士です。このうち研究者として搭乗したトルコ宇宙機関(TUA)のTuva Ataseverさんはアメリカの民間企業Axiom Space(アクシオム・スペース)による民間主導の国際宇宙ステーション(ISS)滞在ミッション「Ax-3」でバックアップクルーを務めた人物で、有人宇宙飛行に関連した生理学的データとして脳の活動をモニタリングするための装置など3つの実験装置を携えて搭乗しました。

新たな宇宙船「Delta Class(デルタ・クラス)」

なお、Virgin Galacticは新たな宇宙船「Delta Class(デルタ・クラス)」の開発を進めており、VSS Unityによる商業宇宙飛行は今回が最後となります。

同社によると、Delta Classは毎月8回のミッションを実施可能とされており、最初の商業宇宙飛行は2026年に予定されているということです。【最終更新:2024年6月11日14時台】

 

 

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文・編集/sorae編集部