宇宙関連の開発と人材育成を目指す国内の団体「Chart」は2024年4月14日、スペースバルーン(高高度気球)を高度約30kmの成層圏に到達させて動画を撮影することに成功したと発表しました。【最終更新:2024年5月22日17時台】
Chartは地球や宇宙の景観を成層圏から撮影することを目的に、2023年11月からスペースバルーンの打ち上げに向けた準備を開始しました。2024年2月26日に実施された1回目の打ち上げでは栃木県を飛び立った機体を茨城県で回収する予定でしたが、GPSの機材不良により機体の位置情報を取得できなかったため回収に失敗しています。
今回実施されたのは2回目の打ち上げです。Chartによると、長野県東筑摩郡から2024年4月14日7時10分に打ち上げられたスペースバルーンは同日11時30分に茨城県猿島郡五霞町で回収されました。飛行時間は3時間15分とされています。機体に損傷はなく、動画の撮影にも成功しており、その一部がChartから公開されています。
【▲ Chartが2024年4月14日に実施した第2回スペースバルーン打ち上げ時に高高度で撮影された景色(動画)】
(Credit: Chart)
「宇宙をより身近なものとし、人類の進歩に寄与すること」を理念とするChartは、スペースバルーンの打ち上げ体験を通じて誰もが宇宙分野に触れられる環境を整備し、日本の宇宙産業の発展に寄与したいと述べています。今後は若年層の興味を惹くためにエンターテイメントでの活用も視野に入れつつスペースバルーンの打ち上げを続けていくとしており、将来に向けた長期的目標としてロケットの打ち上げ挑戦も掲げているということです。
■Chartの技術責任者から寄せられたコメント
“今回の打上げは2回目の挑戦でとても緊張しました。1回目の打上げは回収することができず悔しい思いをしました。正直に言うと、スペースバルーンを回収することができないとかなりの損失が出てしまいます笑
なので、今回、打ち上げを行ってから回収までは、ずっと祈っていました。そして、GPSでスペースバルーンの位置情報を再受信できた時は、「某牛丼チェーン店」で朝食休憩を取っている最中だったのですが、思わず声をあげて喜んでしまいました。
そして、回収した機体から映像を見た時は、疲れが吹っ飛んでしまいました。宇宙の深い青が確認でき、宇宙の広大さ、私たちは何も分かっていないことを改めて思い知らされました。
これからも挑戦を続けることを心に誓った瞬間でした。
また、この成功はクラウドファンディングでご支援いただいた皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
私たちChartの挑戦はまだ始まったばかりです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。”
Source
- Chartウェブサイト
- CAMPFIRE - スペースバルーンプロジェクト
文・編集/sorae編集部