ESAがスペインの民間宇宙企業PLD Spaceへ資金提供 Miura 5ロケットの開発に利用
【▲ PLD Spaceが開発している2段式ロケット「Miura 5」の想像図(Credit: PLD Space)】

欧州宇宙機関(ESA)は2024年2月19日に、同機関の商業宇宙輸送サービス支援プログラム「Boost!」の下でスペインの民間宇宙企業PLD Spaceと契約を締結したと発表しました。

【▲ PLD Spaceが開発している2段式ロケット「Miura 5」の想像図(Credit: PLD Space)】
【▲ PLD Spaceが開発している2段式ロケット「Miura 5」の想像図(Credit: PLD Space)】

Boost!は小型衛星の打ち上げサービスや軌道上放出サービスなどの商業宇宙輸送サービスを行う民間企業に対してESAが支援する取り組みです。今回の契約締結によりPLD Spaceは約130万ユーロ(約2億1000万円)の資金提供を受けました。

PLD Spaceは全長約35メートル・直径約2メートルの2段式ロケット「Miura 5」の開発を進めています。Miura 5の打ち上げ能力は太陽同期軌道に重量540キログラムで、1段目に5機搭載されるメインエンジンは推進剤に液体酸素とケロシンを使用します。同社はMiura 5の打ち上げを1年間に15回予定しており、第1段機体は打ち上げ後にパラシュートで回収・再利用される計画です。ESAによると、Miura 5は2025年にフランス領ギアナにあるギアナ宇宙センターから打ち上げられる見込みです。

契約によって得られた資金は、Miura5に搭載される衛星アダプター「Modular Solution for Payload Adapter(MOSPA)」の開発に使用されます。ESAによると、MOSPAはキューブサットやマイクロサットなど様々な大きさの小型衛星を搭載・放出できる衛星アダプターで、スペインの民間宇宙企業OCCAM Spaceとの共同開発が行われる予定です。

なお、PLD Spaceは2023年10月7日、スペインのエル・アレノシロ(El Arenosillo)試験センターにて同社が開発した「Miura 1」ロケットのサブオービタル飛行(弾道飛行)に成功しました。Miura 1は高度150kmに約100kgのペイロードを打ち上げる能力があります。

【▲ 2023年10月7日に打ち上げられたMiura1ロケット(Credit: PLD Space)】
【▲ 2023年10月7日に打ち上げられたMiura1ロケット(Credit: PLD Space)】

 

Source

  • ESA - PLD Space gets even more Boost!
  • ESA - Boost!
  • ESA - Miura 1 first launch
  • PLD Space - PLD Space wins BOOST! contract to support flexible payload accommodation
  • PLD Space - Miura 5

文/出口隼詩 編集/sorae編集部