-PR-

スペースXが開発中の新型ロケット「Starship(スターシップ)」による2回目の無人飛行試験が近付いている模様です。同社CEOのイーロン・マスク氏は日本時間2023年11月14日、規制当局の承認が数日後の打ち上げに間に合うはずだと知らされたばかりであるとX(旧Twitter)に投稿しました。スターシップ2回目の無人飛行試験は、早ければ現地時間2023年11月17日に予定されています。【2023年11月15日10時】

【▲ スペースXの新型ロケット「Starship(スターシップ)」。推進剤を充填する打ち上げ前リハーサルが行われた2023年10月24日に撮影(Credit: SpaceX)】
【▲ スペースXの新型ロケット「Starship(スターシップ)」。推進剤を充填する打ち上げ前リハーサルが行われた2023年10月24日に撮影(Credit: SpaceX)】

スターシップは1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と2段目の大型宇宙船「Starship(スターシップ)」からなる全長121mの再利用型ロケットで、打ち上げシステムとしても「スターシップ」の名称で呼ばれています。スペースXによれば、両段を再利用する構成では最大150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げることが可能であり、2段目のスターシップ宇宙船は単体でも地球上の2地点間を1時間以内に結ぶ準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能だとされています。

2023年4月20日、スペースXはスーパーヘビーも含めたスターシップ打ち上げシステム初の無人飛行試験を米国テキサス州ボカチカの同社施設「Starbase(スターベース)」にて実施しました。スーパーヘビーを分離した後のスターシップ宇宙船は発射90分後に地球を約4分の3周したハワイ沖の太平洋へ着水する計画でしたが、分離前にスーパーヘビーのコントロールが失われたために飛行中断システムが作動して機体は空中で破壊され、この時は発射約4分後に飛行を終えています。

【▲ 上昇を続けるスターシップ、2023年4月20日の飛行試験にて(Credit: SpaceX)】
【▲ 上昇を続けるスターシップ、2023年4月20日の飛行試験にて(Credit: SpaceX)】

関連:スペースX、スターシップの無人飛行試験実施 高度39kmに到達も4分後に飛行中断(2023年4月21日)

スターシップ宇宙船とスーパーヘビーは複数の機体が並行して製造されており、スペースXは次の飛行試験に向けたエンジンの点火試験など準備を行ってきました。しかし、前述の試験時に発射台基礎部分のコンクリートが激しく損傷して破片が周辺に飛散したこともあり、アメリカの連邦航空局(FAA)と魚類野生生物局(FWS)による環境審査が完了して承認を得るまで、次の打ち上げは実施できない状況になっていました。

-PR2-

スペースXは1回目の飛行試験で得られた知見をスターシップ宇宙船やスーパーヘビーに反映させるとともに、発射台の修復と改良を進めてきました。たとえば、スーパーヘビーに搭載されている33基の「Raptor(ラプター)」エンジンから噴射される燃焼ガスを受け止めて流れを逸らせるために、現在の発射台には鋼製の水冷式ディフレクターが基部に設置されています。

【▲ スターシップ発射台の基部に設置された水冷式ディフレクターの試験時の様子(Credit: SpaceX)】
【▲ スターシップ発射台の基部に設置された水冷式ディフレクターの試験時の様子(Credit: SpaceX)】

打ち上げシステムの大きな変更点としては、スーパーヘビーを分離する直前にスターシップ宇宙船のエンジンを点火する「ホットステージング(hot-staging)」の採用が挙げられます。

スペースXが運用中の「Falcon 9(ファルコン9)」を含む多くのロケットでは、役目を終えたステージ(例:1段目)を分離してから次のステージ(例:2段目)のエンジンに点火する方法が採用されています。一方、ホットステージングは分離する直前の段階で次のステージのエンジンに点火する方法で、ロシア(旧ソ連)のロケットで採用されてきました。役目を終えたステージはエンジンを停止してから分離されるので、ロケットの推力には一時的にロスが生じてしまいますが、ホットステージングにはこのロスを抑える効果があります。

【▲ 発射台へと輸送されるスーパーヘビー。先端部分に設けられた開口部の様子がわかる(Credit: SpaceX)】
【▲ 発射台へと輸送されるスーパーヘビー。先端部分に設けられた開口部の様子がわかる(Credit: SpaceX)】

マスク氏によれば、スターシップでホットステージングを採用すれば軌道に投入するペイロードの重量を10パーセント増やせるメリットがあるといいます。ホットステージングに対応するため、スターシップ宇宙船と結合するスーパーヘビーの先端部分には燃焼ガスを逃がすための広い開口部や、スーパーヘビーを保護するためのシールドが新たに設けられました。

FAAは米国中部標準時2023年11月17日7時~9時39分(日本時間2023年11月17日22時~18日0時39分)を有効日とするボカチカ周辺から東にかけての空域についてのNOTAM(ノータム、航空情報)を通知しています。また、ボカチカがあるテキサス州キャメロン郡、スペースXの活動に対応して米国中部標準時2023年11月17日12時~20時(日本時間2023年11月18日3時~11時)にかけて、州道4号線とボカチカビーチが封鎖される可能性があると公告を出しています(代替日時として翌日と翌々日の同じ時間帯も指定)。打ち上げが認可されれば、早ければ日本時間で今週金曜日深夜から土曜日未明にかけての時間帯に、スターシップが再び飛び立つことになるかもしれません。

 

【更新:2023年11月15日18時】FAAが出しているNOTAMについての追記と本文の一部修正を行いました。

Source

  • SpaceX – Starship’s Second Flight Test
  • SpaceX – Starship
  • SpaceX (X, fka Twitter)
  • Elon Musk (X, fka Twitter)
  • CNBC – Elon Musk says SpaceX should receive clearance to attempt second Starship launch this week
  • SpaceNews – SpaceX changing Starship stage separation ahead of next launch
  • Cameron County – SpaceX
  • FAA – Graphic TFR’s

文/sorae編集部

-ads-

-ads-