米宇宙企業ヴァージン・ギャラクティックは日本時間11月3日未明、宇宙船「スペースシップツー “VSS Unity”」による同社5回目の商業宇宙飛行ミッション「Galactic 05」を実施しました。6名のクルーを乗せたVSS Unityは高度80km以上の宇宙空間(※)へ到達した後に、無事地上へ帰還しています。【2023年11月3日13時】
ヴァージン・ギャラクティックによると、空中発射母機「ホワイトナイトツー “VMS Eve”」に吊り下げられたVSS Unityは、日本時間2023年11月3日0時ちょうど(米国山岳部夏時間11月2日9時)に米国ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカを離陸。高度4万4701フィート(約1万3600m)で母機から切り離されると自身のエンジンで最大速度マッハ2.96まで加速・上昇し、準軌道飛行(サブオービタル飛行)を行った後の日本時間同日0時59分にスペースポート・アメリカへ着陸しました。最高到達高度は54.2マイル(約87.2km)とされています。
今回のGalactic 05はヴァージン・ギャラクティックにとって2023年10月に実施された「Galactic 04」に続く5回目の商業宇宙飛行であり、2023年6月の「Galactic 01」以来2回目となる“準軌道科学実験室”としてのミッションでもありました。クルー6名のうち乗客は3名で、サウスウエスト研究所(SwRI)の惑星科学者Alan Stern博士、宇宙生物学研究者のKellie Gerardiさん、民間宇宙飛行士のKetty Pucci-Sisti Maisonrougeさんが搭乗しました。
Sternさんは冥王星などのフライバイ探査を行ったアメリカ航空宇宙局(NASA)の無人探査機「New Horizons(ニュー・ホライズンズ)」の主任研究員を務める人物で、ヴァージン・ギャラクティックによると今回の飛行では自身に装着した装置で有人宇宙飛行に関連した生理学的データを収集するなど2件の実験を実施。Gerardiさんは微小重力環境下における新しいヘルスケア技術の評価など3件の実験を実施しました。
今後NASAの資金提供による2回目の準軌道飛行も予定しているSternさんは、今回の飛行は忘れられない経験であり次回の飛行にすでに興奮していると述べるとともに、「私がさらに興奮しているのは、研究者自身が宇宙で研究を行える新しい時代の始まりだという考えです。これは極めて重要な何かの始まりだと信じています」とコメントしています。なお、ヴァージン・ギャラクティックによる次の商業宇宙飛行ミッション「Galactic 06」は2024年1月に予定されているということです。
※…国際的には高度100km以上が宇宙と定義されていますが、米空軍は高度80km以上と定義しています。
Source
- Virgin Galactic - Virgin Galactic Completes Sixth Successful Spaceflight in Six Months
- SwRI - SwRI’s Dr. Alan Stern conducts space research during suborbital spaceflight aboard Virgin Galactic’s VSS Unity
文/sorae編集部