ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は現地時間2023年10月6日、アマゾン(Amazon)の衛星コンステレーション計画「カイパー(Kuiper)」の試験衛星2機を打ち上げました。この打ち上げは、ULAとアマゾンによる初の共同ミッションとなります。
カイパーの試験衛星「KuiperSat-1」と「KuiperSat-2」はULAの「アトラスV」ロケットに搭載され、米国フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第41発射施設から日本時間2023年10月7日3時6分(米国東部夏時間2023年10月6日14時6分)に打ち上げられました。衛星は発射18分後にロケットから分離し、高度500km・軌道傾斜角30度の地球低軌道に投入されました。分離後の衛星の制御はアマゾンが引き継ぎ、同日3時53分にKuiperSat-2、3時54分にKuiperSat-1との通信を確立することに成功したということです。
カイパーはアマゾンによる衛星コンステレーション計画で、合計3236機の衛星から構成されます。カイパーでは主に地球低軌道上の小型衛星、顧客端末(カスタマー・ターミナル)、地上の通信ネットワークの間でネットワークを結び、通信サービスを提供する予定です。
この計画を実現するために、アマゾンはULA、アリアン・スペース、ブルーオリジンとの間で83回の衛星打ち上げ機会を確保する契約を締結しています。内訳はULAの「ヴァルカン・セントール」ロケットが38回、ブルーオリジンの「ニューグレン」ロケットが12回、アリアンスペースの「アリアン6」ロケットが18回で、この他にブルーオリジンとの間では15回の追加打ち上げも契約されているため、合計で83回となります。
ただ、ここに挙げた3つのロケットはすべて開発中の新型ロケットであり、まだ打ち上げられたことがありません。米国通信委員会(FCC)のライセンスでは2026年7月までに計画された衛星の半数を打ち上げる必要があると規定されており、アマゾンも実際のサービスに使用する衛星の打ち上げおよびカイパーのサービス開始を2024年に予定していますが、サービスが予定通り開始されるかどうかは新型ロケットの開発にかかっているとも言えます。
なお、今回の打ち上げに使用されたアトラスVロケットは、固体ロケットブースターを使用せず、全長5mの衛星フェアリングを使用する「501」タイプでした。このタイプは2010年から使用されています。
また、この打ち上げはULAにとって185回目の打ち上げであり、アトラスVロケットにとっては99回目の打ち上げとなりました。ULAによれば、次回の打ち上げではヴァルカン・セントールの初打ち上げが予定されています。
関連記事:ULAの新型ロケット「ヴァルカン」初打ち上げは2023年第1四半期の予定 アマゾンの衛星コンステレーション用試験機搭載(2022年10月26日)
Source
- ULA - ATLAS V SUCCESSFULLY LAUNCHES PROJECT KUIPER PROTOFLIGHT
- ULA - United Launch Alliance Successfully Launches First Mission in Partnership with Amazon
- ULA - Protoflight: Project Kuiper payload placed atop Atlas V
- Amazon - The latest updates from Project Kuiper’s satellite test mission
- Amazon - How Amazon’s Project Kuiper is preparing for its first satellite test mission, and what we hope to learn
- Amazon - Everything you need to know about Project Kuiper, Amazon’s satellite broadband network
文/出口隼詩