ファイアフライ・エアロスペース(Firefly Aerospace)は現地時間2023年9月14日、米宇宙軍と共同で「VICTUS NOX」ミッションを実施しました。

【▲ 米国カリフォルニア州のヴァンデンヴァーグ宇宙軍基地から発射されるアルファロケット(Credit: Firefly)】

【▲ 米国カリフォルニア州のヴァンデンヴァーグ宇宙軍基地から発射されるアルファロケット(Credit: Firefly)】

ファイアフライの「アルファ」ロケットは現地時間2023年9月14日19時28分、米国カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられました。搭載されていたのはボーイングの子会社であるミレニアム・スペース・システム(Millennium Space System)が開発した人工衛星で、所定の軌道へ投入されたということです。なお、打ち上げ中継は米軍からの要求により実施されませんでした。

【▲ ロケットから切り離される衛星の様子(Credit: Firefly)】

【▲ ロケットから切り離される衛星の様子(Credit: Firefly)】

今回の打ち上げは米国宇宙軍の戦略対応型打ち上げミッション(Tactically Responsive Space Mission)として実施されました。このミッションは、軌道上で米国の国家安全保障に関わる脅威が発生した際に衛星を迅速に軌道へ配備することを最終的な目的としており、今回はその実証試験でした。

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このミッションでは「six-month hot standby phase」と呼ばれる6か月の待機期間が設けられており、宇宙軍はこの期間中にファイアフライのミッションチームに対して、意図的に不明な時間(an intentionally unknown time)にアラート通知を行います。通知を受けたミッションチームは、衛星の射場への搬入、ペイロードアダプターとロケットの接続作業、ロケットの燃料に関する作業などを60時間で実施します。

そして、宇宙軍から最終的な軌道情報を含む打ち上げ通知が行われると、ファイアフライは24時間以内に軌道ソフトウェアのアップデートや衛星のペイロード収容、発射台への移動を行った後に、打ち上げを実施するという流れです。

今回のミッションでは、宇宙軍の通知から24時間以内に打ち上げ準備が完了し、その時点から最も早いローンチ・ウィンドウでの打ち上げに成功しています。最終的な通知から打ち上げまでに要した時間は27時間でした。

なお、今回の打ち上げ後、衛星の運用を担当するミレニアム社は48時間以内に衛星のミッションである宇宙領域把握(SDA)を開始するということです。日本の宇宙基本計画によれば、宇宙領域把握とは「宇宙物体の運用利用状況及びその意図や能力を把握する」体制と定義されています。宇宙空間では多くの衛星が活動をしており、その中には他国の衛星を攻撃する能力を持つ衛星も配備されている可能性があるため、衛星の機能や意図などを把握し、自国の衛星を守ることは安全保障上重要な取り組みと言えます。

今回はファイアフライにとって3回目のロケット打ち上げとなりました。1回目は2021年9月2日に実施されましたが、打ち上げから15秒後にエンジンの一部が停止し、約2分後に指令破壊されました。2回目のミッションは2022年10月に実施され、衛星の軌道投入に成功しています。

 

Source

文/出口隼詩

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