米宇宙企業ヴァージン・ギャラクティックは2023年8月11日未明(日本時間・以下同様)、宇宙船「スペースシップツー “VSS Unity”」による同社2回目の商業宇宙飛行ミッション「Galactic 02」を実施しました。6名のクルーを乗せたVSS Unityは高度80km以上の宇宙空間(※1)へ到達した後に、無事地上へ帰還しています。【2023年8月11日10時】

※1…国際的には高度100km以上が宇宙と定義されていますが、米空軍は高度80km以上と定義しています。

【▲ エンジンを点火して上昇するヴァージン・ギャラクティックの宇宙船「スペースシップ・ツー “VSS Unity”」(Credit: Virgin Galactic)】
【▲ エンジンを点火して上昇するヴァージン・ギャラクティックの宇宙船「スペースシップ・ツー “VSS Unity”」(Credit: Virgin Galactic)】

ヴァージン・ギャラクティックによると、空中発射母機「ホワイトナイトツー “VMS Eve”」に吊り下げられたVSS Unityは、2023年8月10日23時30分(米国山岳部夏時間同日8時30分)に米国ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカを離陸。高度4万4300フィート(約1万3500m)で母機から切り離されると自身のエンジンで最大速度マッハ3.0まで加速・上昇し、準軌道飛行(サブオービタル飛行)を行った後、翌8月11日0時30分にスペースポート・アメリカへ着陸しました。最高到達高度は55マイル(約88.5km)とされています。

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【▲ VSS Unityのキャビンで笑顔を見せるGalactic 02のクルー(Credit: Virgin Galactic)】
【▲ VSS Unityのキャビンで笑顔を見せるGalactic 02のクルー(Credit: Virgin Galactic)】

今回のGalactic 02は、2023年6月に実施されたGalactic 01に続くヴァージン・ギャラクティックにとって2回目の商業宇宙飛行です。クルー6名のうち乗客は3名で、イギリス出身のJon Goodwinさん、アンティグア・バーブーダ出身のKeisha SchahaffさんとAnastatia Mayersさんが搭乗しました。

ヴァージン・ギャラクティックによると、80歳のGoodwinさんは1972年のミュンヘンオリンピックにカヌー選手として出場。冒険家として米国やヒマラヤなどでのカヌー探検の記録を保持しており、2014年にパーキンソン病と診断されてからも限界を押し広げるべくキリマンジャロ登山などに挑んでいます。Goodwinさんはパーキンソン病と診断されてから宇宙飛行を行った2人目の人物(※2)になったとされています。46歳のSchahaffさんと18歳のMayersさんは親子で、母親と娘のペアとして初の宇宙飛行となりました。Schahaffさんは起業家で、Mayersさんは哲学と物理学を学ぶアバディーン大学の大学生だということです。

※2…過去にはアメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士だったマイケル・クリフォード(Michael Richard Clifford)さんがSTS-59ミッション(1994年4月)終了後にパーキンソン病と診断されたものの、STS-76ミッション(1996年3月)でクルーに割り当てられたことがあります。クリフォードさんは他の5名のクルーとともにスペースシャトル「アトランティス」に搭乗してミール宇宙ステーションに向かい、6時間に渡る船外活動も行いました。

なお、ヴァージン・ギャラクティックは今回のGalactic 02以降は毎月宇宙飛行を実施するとしており、次の商業宇宙飛行ミッション「Galactic 03」は2023年9月に予定されています。

【▲ ヴァージン・ギャラクティックによるGalactic 02ミッションのライブ配信アーカイブ】
(Credit: Virgin Galactic)

 

Source

文/sorae編集部

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