米宇宙企業スペースXは現地時間2023年6月26日、同社が開発中の大型宇宙船「Starship(スターシップ)」によるエンジン点火試験(スタティック・ファイア・テスト)を実施しました。【2023年6月28日11時】
機体全体の再利用が可能なスターシップは、大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と組み合わせることで旅客輸送用のクルー型なら100名を、貨物輸送用のカーゴ型なら100トンのペイロード(人工衛星や貨物などの搭載物)を地球低軌道に輸送する能力を備えるとされています。スターシップは月や火星などへの飛行も想定されており、打ち上げ後に軌道上でタンカー仕様の機体から推進剤を補給することも計画されています。
スペースXは2023年4月20日にスターシップとスーパーヘビーの組み合わせによる初の無人飛行試験を実施。スターシップは順調に飛行すれば発射90分後に地球を約4分の3周したハワイ沖へ着水する計画でしたが、スーパーヘビーの分離前にコントロールが失われため飛行中断システムが作動して機体は空中で破壊。発射台もエンジン点火時に基礎部分のコンクリートが損傷したため、修復作業が続けられています。
関連:スペースX、スターシップの無人飛行試験実施 高度39kmに到達も4分後に飛行中断(2023年4月21日)
Ship 25 completes a six-engine static fire test at Starbase in Texas pic.twitter.com/wCCrh0RRNA
— SpaceX (@SpaceX) June 27, 2023
【▲ エンジン点火試験の様子をシェアしたスペースX公式アカウントのツイート】
今回のエンジン点火試験は「Ship 25」と命名された機体を使用して、米国テキサス州にあるスペースXの施設「Starbase(スターベース)」で実施されました。スターシップに搭載されている6基の「Raptor(ラプター)」エンジン(大気圏内用3基と宇宙空間用3基)が全て同時に点火され、数秒後に燃焼を終えています。
試験の実施後、スペースXのイーロン・マスクCEOは同社のツイートを引用する形で「フライト2の重要なマイルストーンを完了した」「火星へのプレリュード」とツイート。マスク氏は2023年6月13日の時点で次のスターシップ飛行試験の実施について「6~8週間後」と述べており、7月後半~8月頃を目標に準備を進めている様子が伺えます。
Prelude to Mars https://t.co/nY2XahU4JG
— Elon Musk (@elonmusk) June 27, 2023
【▲ エンジン点火試験の画像を引用したイーロン・マスク氏のツイート】
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文/sorae編集部