ロケットラボは現地時間2023年5月8日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の衛星コンステレーション計画「TROPICS」の衛星2機を打ち上げました。今回の打ち上げミッションは「Rocket Like A Hurricane」と呼ばれており、衛星は熱帯低気圧の観測を実施します。
衛星を搭載した「エレクトロン」ロケットは、ニュージーランド標準時2023年5月8日13時00分、マヒア半島にあるロケットラボの打ち上げ施設から発射されました。NASAによると、打ち上げから約35分後に衛星の分離に成功したということです。衛星は高度550km・軌道傾斜角32度の地球低軌道に投入されました。
TROPICSはマサチューセッツ工科大学(MIT)のリンカーン研究所が主導するミッションです。ハリケーンを含む熱帯低気圧の形成と発達を観測し、迅速な情報提供を行うことがミッションの主な目的です。衛星は3Uサイズで、マイクロ波放射計などが搭載されています。
TROPICSのコンステレーションは4機の超小型衛星で構成されており、残りの2機はエレクトロン打ち上げミッション「Coming To A Storm Near You」で2023年5月25日に打ち上げられる予定です。4機の衛星は1時間ごとに観測を実施し、最新の熱帯低気圧の状況を確認できます。
当初、TROPICSは6機の衛星により構成される予定でした。最初の2機は2022年6月12日にアストラ社の「Rocket 3.3」ロケットに搭載されて打ち上げられたものの、軌道投入に失敗。2022年11月、NASAは残る4機を打ち上げる企業としてロケットラボを選定し、VADRプログラム(ベンチャー企業に対してロケットの打ち上げ機会を提供することで市場を育成するプログラム)による契約を結び、打ち上げに至りました。
Source
- Image Credit: Rocket Lab
- Rocket Lab - Rocket Like A Hurricane
- SpaceNews - Rocket Lab launches NASA TROPICS CubeSats
文/出口隼詩