アメリカのヴァージン・オービットは4月4日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条(Chapter 11)の適用を申請したことを発表しました。
ヴァージン・オービットは空中発射ロケット「ランチャーワン(LauncherOne)」を運用する民間宇宙企業です。2段式のランチャーワンはボーイング747-400を改修した空中発射母機「コズミック・ガール(Cosmic Girl)」の左翼に吊り下げられた状態で高度1万m付近まで運ばれ、空中で投下された数秒後にエンジンを点火し、ペイロードを地球低軌道まで運びます。
同社は2020年5月に実施したランチャーワンの初打ち上げには失敗したものの、2021年1月の2回目の打ち上げ以降は4回連続で成功していました。しかし、2023年1月の英国からの打ち上げには失敗。財政状況が悪化したことで2023年3月に事業を停止し、従業員の多くをレイオフしたと報じられていました。
ヴァージン・オービットはANAホールディングスなどと協力して大分空港からのランチャーワン打ち上げも計画していましたが、今回の連邦破産法11条申請は“宇宙港”としての運用を目指す大分空港の動向にも少なからぬ影響を及ぼすと思われます。
また、日本の民間宇宙企業QPS研究所は合成開口レーダー(SAR)を搭載した同社の小型SAR衛星「QPS-SAR」5号機をランチャーワンで打ち上げる契約をヴァージン・オービットと結んでいましたが、同衛星の打ち上げに関して調整を進めていることを3月31日付で明らかにしています。
Source
- Image Credit: Virgin Orbit
- Virgin Orbit - VIRGIN ORBIT TO CONTINUE SALE PROCESS UNDER CHAPTER 11 PROTECTION
- SpaceNews - Virgin Orbit files for bankruptcy
- QPS研究所 - 小型SAR衛星QPS-SAR 5号機の打上げに関して
文/sorae編集部