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スペースデブリ除去に取り組むアストロスケール株式会社は2023年2月27日、シリーズGにおいて約101億円の資金調達を実施したと発表しました。また、同社と三菱電機株式会社が日本の安全保障用途の衛星に使用する衛星バスの共同開発および製造に向けた協業に合意したことも、同日付で明らかにされています。

【▲ アストロスケールのデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d」。画面左の衛星が捕獲機(サービサー)で、右の衛星が模擬デブリ(クライアント)(Credit: Astroscale)】

アストロスケールによると、今回の資金調達は第三者割当増資により、三菱電機株式会社、実業家の前澤友作氏、株式会社三菱UFJ銀行、三菱商事株式会社、株式会社日本政策投資銀行、株式会社FELから受けたということです。同社の資金調達は今回が7回目で、累計調達金額は約435億円に及びます。

今回の調達について同社の創業者兼CEOの岡田光信氏は、今回の資金調達について「(同社の)さらなる革新的な技術開発、グローバルな事業展開、そして需要増に応じた供給能力の向上に大きく貢献します」とコメントしています。

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投資家の1人である前澤友作氏からの調達額は約30億円を占めています。前澤氏は2021年12月に日本人の民間人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)に12日間滞在した経験があり、現在はスペースX社が開発中の有人宇宙船「スターシップ」を用いた民間人初の月周回旅行プロジェクト「dearMoon」を計画中です。

今回の調達について前澤氏は「実際に宇宙に滞在した者として、宇宙のゴミ「スペースデブリ」の問題は非常に気になるところです。(中略)デブリ除去に取り組むアストロスケール社の活動に大変感銘を受け、今回微力ではありますが応援させていただくことにしました」と述べています。

【▲ 前澤友作氏とアストロスケールの岡田光信CEO(Credit: Astroscale)】

また、約33億円を出資する三菱電機は前述の通り、日本の安全保障用途の衛星に使用する衛星バスの共同開発・製造に向けた協業でアストロスケールと合意しました。共同開発される衛星バスにはアストロスケールが開発したドッキングプレートを搭載するとされており、運用終了後に自力で軌道離脱できない衛星をアストロスケールの捕獲衛星で除去するケースが想定されています。

アストロスケールは日本に本社と開発拠点をおき、英国、米国、イスラエルに拠点がある民間宇宙企業です。同社は主にスペースデブリの除去を目的とした衛星の開発ミッションやプロジェクトを行っており、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ)」の開発に取り組んでいます。ADRAS-Jは米国の民間ロケット企業ロケットラボの「エレクトロン」ロケットを用いて打ち上げられる予定で、過去に打ち上げられた日本のH-IIAロケット上段への接近等を行い、軌道上に長期間放置されたデブリの運動や損傷などの観測を行います。

このほかにもアストロスケールは英国宇宙庁(UKSA)とのパートナーシップ締結や米国とイスラエルの寿命延長衛星「LEXI(レキシー)」の開発を主導するなど、グローバルな活動を実施しています。

 

Source

  • アストロスケール - アストロスケール、シリーズGで約101億円を調達
  • アストロスケール - 三菱電機がアストロスケールに出資 ~安全保障用途の衛星バス共同開発・製造に向けた協業に合意~
  • アストロスケール - アストロスケール、日本の民間人として初めて国際宇宙ステーションに滞在した実業家の前澤友作氏から資金調達を実施

文/出口隼詩

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