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【▲ 2023年2月17日、LE-9エンジンに点火したH3ロケット試験機1号機(Credit: JAXA)】

【2023年3月4日16時30分】2023年3月6日に予定していた打ち上げは3月7日へ延期となりました。

 


【2023年3月3日16時51分】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年3月3日、打ち上げが中止されていた「H3」ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」の打ち上げに関する記者説明会を開催しました。原因の絞り込みが終わり対応策も実施されたことで、H3ロケット試験機1号機の打ち上げ時間帯は日本時間2023年3月6日(月)10時37分55秒~10時44分15秒に再設定されています。

既報の通り、先進光学衛星「だいち3号」を搭載したH3ロケット試験機1号機(H3-22S)は種子島宇宙センターから2023年2月17日10時37分(日本時間)に打ち上げられる予定でしたが、第1段の「LE-9」エンジン2基の点火とそれに続く固体ロケットブースター「SRB-3」2基の点火の間(リフトオフの6.3秒前~0.4秒前)にロケットの第1段に搭載されている制御機器(1段機体制御コントローラ)が異常を検知したためにSRB-3を点火するための信号(着火信号)が送信されず、同日の打ち上げは中止。2023年2月22日の時点でJAXAは、機体や地上設備の電気的な挙動が影響を与えた可能性が高いと言及していました。

関連:「H3」ロケット続報 打ち上げ中止の原因は機体や地上設備の電気的な挙動による影響か(2023年2月24日)

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記者説明会に登壇した岡田匡史プロジェクトマネージャーによると、原因の調査を進めた結果、リフトオフ時にロケットと地上側設備の接続が物理的に遮断されるのに先立つ電気的離脱のプロセスにおいて、通信・電源ラインの遮断時に生じる過渡的な電位変動(ノイズのようなもの)によって1段機体制御コントローラが誤動作し、誤ったコマンドの検知が誘発されたと推定されるに至りました。

【▲ H3ロケットの第1段と地上側設備をつなぐアンビリカルの接続部分付近。アンビリカルはリフトオフと同時に切り離される。JAXAが公開している動画「H3ロケット試験機1号機フライトシーケンスCG」から(Credit: JAXA)】
【▲ H3ロケットの第1段と地上側設備をつなぐアンビリカルの接続部分付近。アンビリカルはリフトオフと同時に切り離される。JAXAが公開している動画「H3ロケット試験機1号機フライトシーケンスCG」から(Credit: JAXA)】

ロケットは打ち上げの直前までアンビリカル(Umbilical、へその緒)と呼ばれるケーブルで地上側設備とつながっています。機体が発射台を離れる時にアンビリカルは切り離されるのですが、物理的な切り離しに先立ってアンビリカルを流れる電流を止めるプロセスが電気的離脱で、LE-9点火後の打ち上げ条件の成立(FLI)と同時に行われるようになっていました。電気的離脱は電位変動を伴いますが、この電位変動が制御機器の誤動作を引き起こしてしまった模様です。

※…FLI:フライトロックイン、点火後のLE-9エンジンの立ち上がり(推力90パーセント相当)と各機器の正常な作動状態から自動判定される。

電位変動による誤動作の対策として、これまで複数の通信・電源ラインを同時に遮断していたところを、一定のわずかな時間差を設けて1本ずつ遮断することで電位変動を抑制する対策が行われており、検証試験では有効性が確認できたとされています。2月17日に誤動作が発生したのは1段機体制御コントローラでしたが、地上側設備との過渡応答があり得る他の系統についてもチェックが実施され、確認されたものについては必要に応じて同様の対策が行われました。

なお、JAXAによると、3月6日の打ち上げ可否は天候状況を踏まえて再度判断されます。また、打ち上げ予定日の1日前となる3月5日には対応策の最終的な検証として、H3ロケットの機体移動(3月5日16時から)の後にデータの取得も予定されているということです。

岡田プロジェクトマネージャーは会見の最後に「今度こそ打ち上げを成功させるべく最後の一瞬まで頑張りたい」「(三菱やJAXAなどの関係者が)最高のパフォーマンスを出しているので、打ち上げ成功につながると思っています。頑張ります!」と力強く語っていました。

 

Source

  • Image Credit: JAXA
  • JAXA – H3ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の打上げについて[再設定(その4)]
  • JAXA – H3ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の打上げに関する記者説明会 (YouTube)
  • JAXA – H3ロケット試験機1号機フライトシーケンスCG

文/sorae編集部

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