スペースXは現地時間2023年2月17日、衛星通信企業インマルサットの通信衛星「Inmarsat-6(I-6) F2」の打ち上げに成功しました。この衛星は2021年12月に種子島宇宙センターから「H-IIA」ロケット45号機で打ち上げられた初号機「I-6 F1」に続く、Inmarsat-6シリーズ2機目の通信衛星です。
I-6 F2を搭載した「ファルコン9」ロケットは、米国東部標準時2023年2月17日22時59分、米国フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第40発射施設から打ち上げられました。
発射後、ファルコン9の第1段機体はドローン船「Just Read The Instructions」への着陸に成功しました。この機体は今回が3回目の飛行で、これまでに2022年10月5日の有人宇宙ミッション「Crew-5」や2023年1月18日の「GPS III SV-06」の打ち上げで使用されています。
I-6 F2は打ち上げから32分後にロケットの第2段から分離され、所定の軌道に投入されました。今後は衛星自身の電気推進システムを用いて高度3万6000kmの静止軌道へ移動し、軌道上での試験を経て、2024年にサービスを開始する予定です。
インマルサットのInmarsat-6シリーズはKaバンドとLバンドに対応しており、船舶や航空機などに対して通信サービスを提供する他、政府向けの通信サービスも担います。衛星は大西洋上空の静止軌道に配置され、主に大西洋地域へのサービスを提供するということです。
また、Inmarsat-6シリーズはインマルサットが2022年に発表した次世代通信ネットワーク「ORCHESTRA」にも使用されます。衛星の設計寿命は15年とされており、今回打ち上げられたI-6 F2は今後のインマルサットの通信事業を担う重要な衛星の1つとなります。
I-6 F2はエアバス社が開発した衛星バス「Eurostar E3000」を元に開発・製造されました。フランス・ツールーズ(Toulouse)にある工場で衛星の組み立てが行われた後、フロリダ州にはエアバス社の輸送機「A300-600ST」(通称:エアバス・ベルーガ)で輸送されました。
今回の打ち上げ成功について、インマルサットCEOのラジーブ・スーリ氏は「私たちのI-6プログラムは6年の歳月を経て完成した。昨夜の打ち上げは私たちが大規模なグローバル通信に革命を起こす上で、新たなマイルストーンになった」とコメントを発表しています。また、ラジーブCEOによると、インマルサットは2025年頃までに5機の通信衛星を追加で打ち上げる予定だということです。
関連:H-IIAロケット45号機打ち上げ成功! インマルサット社の通信衛星搭載(2021年12月24日)
Source
- Image Credit: SpaceX, Inmarsat
- SpaceX - INMARSAT’S I-6 F2 MISSION
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- Inmarsat - Inmarsat announces trans-Atlantic ‘stepping stone’ trip for latest British satellite
- AIRBUS - Airbus built Inmarsat-6 F2 satellite arrives on board an Airbus Beluga in Florida for launch
- Space News - SpaceX launches Inmarsat-6 F2 in a boost for direct-to-device services
- Everyday Astronaut - Inmarsat I-6 F2
文/出口隼詩