2023年が始まりました。2022年はアメリカ航空宇宙局(NASA)が主導する「アルテミス計画」にとって初めてとなる「アルテミス1」ミッションが成功裏に終わり、「ハッブル」宇宙望遠鏡の後継機「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡(JWST)が撮影した数々の宇宙写真の公開など、宇宙開発・探査が大きく前進した年となりましたが、2023年はどのような宇宙開発や宇宙探査が予定されているのでしょうか?

後編では、月面探査と小惑星探査を中心にいくつかピックアップしてお伝えします。

前編は以下からお読みいただけます。

2023年の注目宇宙開発ニュース 前編:新型ロケットの打ち上げ成功なるか?

■世界が月を目指す! 月面着陸成功なるか?

2023年は日本・アメリカ・ロシア・インドの着陸機が月着陸に挑みます。着陸機を開発するのは国家の宇宙機関だけでなく、民間企業が含まれているところにも注目です。

2022年12月11日、日本の民間宇宙企業「ispace」が手がける月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1の無人月着陸機(ランダー)が打ち上げに成功しました。同社によると、着陸機は順調な航行を継続しており、「2023年1月2日時点で地球から約124万kmの地点を航行」しているということです。記事執筆時点では、2023年4月末に月面着陸をする予定です。

【▲ 月面に着陸したispaceのランダーの想像図(Credit: ispace)】

【▲ 月面に着陸したispaceの着陸機の想像図(Credit: ispace)】

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究所(ISAS)などが開発中の小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」は2023年に打ち上げが予定されています。SLIMは将来の月探査技術に必要な高精度着陸技術を実証する計画です。この技術により、従来の「降りやすいところに降りる」のではなく、「降りたいところに降りる」ことができるようになります。

また、SLIMには株式会社タカラトミーとJAXA、ソニーグループ株式会社、同志社大学の4社が共同開発した変形型の月面探査ロボット「LEV-2」愛称「SORA-Q(ソラキュー)」が搭載されます。

【▲ 変形型月面ロボット「SORA-Q(LEV-2)」。左は変形前、右は変形後の様子(Credit: タカラトミー)】

関連記事:愛称「SORA-Q」タカラトミー等が開発の変形型探査ロボ、2022年度に月面へ

いっぽう、アメリカでは2つの民間企業が着陸機を打ち上げる予定です。まず、アメリカの民間企業アストロボティック(Astrobotic)社の着陸機「ペレグリン(Peregrine)」は、2023年第1四半期にユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の新型ロケット「ヴァルカン」での打ち上げが予定されています。

また、同じくアメリカの民間企業インテュイティブ・マシーンズ(Intuitive Machine)社の着陸機「ノバC(Nova-C)」も2023年第1四半期に打ち上げられる予定です。同社は2023年に2回の月面着陸ミッション「IM-1」と「IM-2」(2023年後半予定)を計画しており、IM-2には株式会社ダイモンが開発する月面探査車「YAOKI(ヤオキ)」が搭載されることになりました。

【▲ Intuitive Machines社の月着陸船Nova-Cとダイモン社の月面探査車YAOKI(Credit: Intuitive Machines)】

【▲ Intuitive Machines社の着陸機Nova-Cとダイモン社の月面探査車YAOKI(Credit: Intuitive Machines)】

そして2023年6月から7月にかけては、インドとロシアの着陸機も打ち上げが予定されています。

まず、インドの着陸機「チャンドラヤーン3号(Chandrayaan-3)」の打ち上げが2023年6月に予定されています。2019年に着陸に失敗した「チャンドラヤーン2号」のリベンジとなるか注目です。また、ロシアでは「ルナ25号」の開発が進んでおり、2023年7月の打ち上げを目指しています。ルナ25号は、1976年に旧ソ連が打ち上げた「ルナ24号」以来行われるロシアの月面着陸ミッションとなります。

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【▲ 打ち上げ準備が進められているロシアの月着陸船「ルナ25」(Credit: Roscosmos)】

【▲ 打ち上げ準備が進められているロシアの着陸機「ルナ25」(Credit: Roscosmos)】

■NASAの小惑星探査がまた前進!

【▲ ベンヌの表面に向けて降下するオシリス・レックスの想像図(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)】

【▲ ベンヌの表面に向けて降下するオシリス・レックスの想像図(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)】

2023年9月24日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機「OSIRIS-REx」(オシリス・レックス、オサイリス・レックス)による小惑星「ベンヌ」からのサンプルを収めたカプセルが地球へ届けられる予定です。同探査機は2020年10月21日、ベンヌにおいてサンプル採取を実施しました。その後、2021年5月にベンヌを離れて地球へ向かっています。

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また、新たに小惑星探査機「Psyche(サイキ)」が2023年10月10日に打ち上げられる予定です。サイキは火星と木星の間に広がる小惑星帯を公転する小惑星「プシケ」の周回探査を目的としており、同小惑星には2029年8月に到着する予定です。

【▲ 小惑星プシケ(奥)を観測する小惑星探査機サイキ(手前)の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】

【▲ 小惑星プシケ(奥)を観測する小惑星探査機サイキ(手前)の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】

関連記事:打ち上げ延期のNASA小惑星探査機「サイキ」ミッションの継続が決定

 

Source

  • Space.com -These are the space missions to watch in 2023 with new rockets, moon landings, an asteroid trip and more

文/出口隼詩

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