こちらは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の太陽電池アレイ先端に取り付けられているカメラで撮影された月と地球です。オリオン宇宙船の無人飛行試験が行われている「アルテミス1」ミッションの6日目、2022年11月21日に撮影されました。撮影時のオリオンは月の裏側に回り込みつつあったため、月の地平線に沈む直前の地球が捉えられています。
冒頭の画像が撮影された後、オリオン宇宙船は11月21日21時57分(日本時間・以下同様)に、月の裏側で月面から約130kmまで接近しました。NASAは月の公転方向に逆行するDRO(Distant Retrograde Orbit、遠方逆行軌道)と呼ばれる軌道でオリオンの試験実施を計画しており、DROに入るための1回目のエンジン噴射も最接近直前に実施されています。
【▲ アルテミス1ミッション6日目にオリオン宇宙船のカメラで撮影された「地球の出」の動画】
(Credit: NASA)
いっぽう、こちらは同じ日にオリオン宇宙船のカメラで撮影された「地球の出」の動画です。太陽に照らされたオリオンの太陽電池アレイの下、真っ暗な月の地平線から地球が姿を表してきます。
月の裏側に回り込んだオリオンは、一時的に地球との通信が途切れました。この動画はNASAのディープスペースネットワークとの通信が再確立してから6分後、11月21日22時5分から撮影されたものとなります。
NASAによると、ミッション8日目を終えたオリオン宇宙船は11月23日14時すぎに一時的な通信の問題が生じたものの、引き続き順調に飛行を続けており、DROに入るための2回目のエンジン噴射が11月26日に予定されています。
また、オリオン宇宙船は11月26日23時25分に地球から24万8655マイル(約40万171km)のポイントを通過します。この距離は有人飛行用に設計された宇宙船が到達した最遠距離であり、1970年4月に「アポロ13号」が記録しました。アルテミス1ミッションではこの記録が52年ぶりに更新され、オリオン宇宙船は11月29日6時48分に今回のミッションで地球から最も遠ざかる26万8552マイル(約43万2192km)のポイントに到達する予定とのことです。
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文/松村武宏