【▲ ケネディ宇宙センター39B射点のSLS初号機。2022年11月14日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

【▲ ケネディ宇宙センター39B射点のSLS初号機。2022年11月14日撮影(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は11月16日に、月面探査計画「アルテミス」最初のミッションとなる「アルテミス1」の打ち上げを予定しています。日本時間2022年11月14日15時54分には、2日後の打ち上げに向けたカウントダウンがスタートしました。

今回のアルテミス1ミッションは、NASAが開発した新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」および新型有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の無人飛行試験にあたります。オリオンはSLS初号機で打ち上げられて月周辺を飛行した後に地球へ帰還する予定です。

最新のスケジュールによれば、アルテミス1の打ち上げは米国フロリダ州のケネディ宇宙センター39B射点にて日本時間2022年11月16日15時4分(米国東部標準時同日1時4分)から2時間のウィンドウ内に実施されます。オリオンは12月11日に地球へ帰還する予定です。なお、SLS初号機には日本の「OMOTENASHI(おもてなし)」「EQUULEUS(エクレウス)」など10機の小型探査機も相乗りしています。

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当初、SLS初号機は日本時間2022年8月29日に打ち上げられる予定でしたが、SLSのコアステージ(第1段)に4基搭載されている液体燃料ロケットエンジン「RS-25」の1基を始動前の目標温度まで冷却できなかったために延期。日本時間2022年9月4日に再度打ち上げが試みられたものの、一部の配管で断続的に発生した液体水素漏れを止めることができず、再び延期されていました。

NASAは水素漏れの修理や極低温推進剤の充填テストを経て日本時間2022年9月28日の打ち上げに向けて準備を進めていましたが、ハリケーン「Ian(イアン)」の接近を受けて打ち上げ延期を決定し、SLS初号機とオリオンを39B射点からロケット組立棟(VAB)へ退避させていました。改めてSLSを射点に設置したNASAは日本時間2022年11月14日の打ち上げを目指していたものの、今度はハリケーン「Nicole(ニコル)」がフロリダ半島に接近しつつあったことから、2日後の16日まで延期されていました。イアンとニコルは打ち上げ延期の決定後にフロリダ半島に上陸しています。


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NASAによると、11月14日までに2つの技術的問題が未解決でしたが、同日午後に招集されたアルテミス1ミッションのマネージャーは問題を確認した上で、16日の打ち上げに向けて「Go」の判断を下しました。14日の時点では、打ち上げ当日の気象条件は90パーセントの確率で良好と予報されています。

問題の1つはコーキングの剥離です。ニコルの通過後、緊急脱出システムとオリオン宇宙船の接続部分付近でコーキングが数フィートに渡って剥離していることが確認されていますが、仮に発射後にコーキングが脱落したとしても、飛行に重大なリスクをもたらす可能性は低いと判断されました。

もう1つは、発射までSLSのコアステージと発射台基部のテールサービスマストアンビリカル(TSMU)をつないでいる電気配線の問題です。2つあるTSMUのうち片方(液体水素側)で、コネクターを介して取得されるデータの一部に問題が確認されており、技術者が発射台側コネクターのコンポーネントを交換したものの、完全には解消できなかったようです。ただしNASAは、データの取得については冗長性が確保されているとしています。

なお、NASAは日本時間11月16日12時30分から、アルテミス1ミッションの打ち上げライブ配信を予定しています。半世紀ぶりの有人月面探査に向けた第一歩となる歴史的なアルテミス1ミッションが、いよいよ始まろうとしています。

【▲ NASA・YouTube公式チャンネルのアルテミス1打ち上げライブ配信(2022年11月16日12時30分開始予定)】
(Credit: NASA)

 

Source

  • Image Credit: NASA/Bill Ingalls
  • NASA - Artemis (NASA Blogs)

文/松村武宏

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