【▲ NASAの小惑星探査機「Psyche(サイキ)」の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】

【▲ NASAの小惑星探査機「Psyche(サイキ)」の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は10月28日、打ち上げが延期されていた小惑星探査ミッション「Psyche(サイキ)」の継続を発表しました。探査機の新たな打ち上げ予定日は、早ければ2023年10月10日の見込みです。

Psycheは火星と木星の間に広がる小惑星帯を公転する小惑星「プシケ」(16 Psyche、最大幅280km)の周回探査を目的としたミッションで、低コスト・高効率な探査を目指すNASAの「ディスカバリー計画」のもとで2017年に選定されました。

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プシケは鉄やニッケルといった金属を豊富に含む「M型小惑星」に分類されていて、その正体は初期の太陽系で形成された原始惑星のコア(核)ではないかと予想されてきました。過去に探査機が接近して観測した小惑星や彗星は主に岩石や氷でできていたため、Psycheは金属質の小惑星を間近で観測する初のミッションとなります。地球のコアを直接調べることはできませんが、原始惑星のコアだった可能性があるプシケの観測を通して、地球のような惑星の形成についての貴重な情報が得られると期待されています。

小惑星プシケ(奥)を観測する小惑星探査機Psyche(手前)の想像図

【▲ 小惑星プシケ(奥)を観測する小惑星探査機Psyche(手前)の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】

Psycheはもともと2022年8月1日から10月11日のウィンドウ内に探査機を打ち上げる予定で準備が進められていましたが、地上試験で用いられるソフトウェア試験用のテストベッド(試験用の環境やプラットフォームのこと)で問題が見つかり、10月11日までにソフトウェアの試験を完了するには時間が足りなくなってしまったため、2022年6月に打ち上げ見送りが決まっていました。

NASAは2022年7月に独立審査委員会を立ち上げ、Psycheミッションの延期につながった問題点の調査や、チームにまだ認識されていない問題や打ち上げまでに終えるべき作業の特定などを進めてきました。10月28日の時点ではまだ最終報告書は完成していないものの、冒頭でも触れた通りNASAはミッションの継続を決定しました。

Psycheの新たな打ち上げウィンドウは2023年10月10日に始まります。探査機は2026年に火星スイングバイを行って軌道を変更し、プシケには2029年8月に到着する予定です。なお、太陽系内の天体は公転運動によって相対的な位置が常に変化しているため、地球から特定の天体へ向かうのに適した打ち上げのタイミングや飛行に要する期間も変化します。Psycheは当初の計画では2022年打ち上げ・2026年プシケ到着の予定だったので、飛行期間は2年ほど長くなったことになります。

NASA科学ミッション本部副本部長のThomas Zurbuchenさんは「Psycheミッションがもたらす科学的知見と、地球のコアを理解することへの貢献に期待が高まります」とコメントしています。

 

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※本稿では探査機およびミッションの名称に「Psyche」の英語での読み方を用いています。

関連:NASA小惑星探査機「サイキ」2022年の打ち上げ見送り、ソフトウェアのテスト時間確保のため

Source

  • Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU
  • NASA/JPL - NASA Continues Psyche Asteroid Mission

文/松村武宏

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