アメリカ航空宇宙局(NASA)は米国東部夏時間2022年9月26日23時21分(日本時間9月27日12時21分)、「アルテミス1」ミッションで打ち上げられる新型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」初号機をケネディ宇宙センターの39B射点から同センターのロケット組立棟(VAB)まで戻す「ロールバック」と呼ばれる作業を開始しました。移動には約10時間かかる見込みです。
SLSと新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の無人飛行試験にあたるアルテミス1ミッションは、米国東部夏時間2022年9月27日(日本時間9月28日未明)の打ち上げが予定されていました。しかし、ケネディ宇宙センターがある米国フロリダ州にトロピカルストーム「イアン(Ian)」が接近するおそれがあることから、同日の打ち上げはすでに見送られていました。イアンはその後勢力を増してハリケーンになっています。
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NASAは人員と機体の安全を優先して、SLSとオリオンを組立棟まで戻すことを現地時間9月26日午前の段階で決定しました。イアンの接近・上陸とその対応にともない、アルテミス1の打ち上げは現地時間10月中旬以降にずれ込む可能性があります。
当初、SLS初号機は米国東部夏時間2022年8月29日(日本時間同日)に打ち上げられる予定でしたが、SLSのコアステージ(第1段)に4基搭載されている液体燃料ロケットエンジン「RS-25」の1基を、始動前の目標温度まで冷却できなかったために延期。続いて米国東部夏時間9月3日(日本時間9月4日)にも打ち上げが試みられたものの、一部の配管で断続的に発生した液体水素漏れを止めることができず、再び延期されていました。現地時間9月21日には水素漏れの修理などを確認するための極低温推進剤充填テストが実施されており、3回目の打ち上げ機会に向けて準備が進められていました。
アルテミス1ミッションに関する新たな情報は、発表があり次第お伝えしていきます。
Source
- Image Credit: NASA/Keegan Barber
- NASA - Artemis (NASA Blogs)
文/松村武宏