【▲ 有人宇宙システム株式会社・東京理科大学・東京農工大学が開発した光触媒空気浄化装置のフライトモデル(Credit: JAMSS)】

有人宇宙システム株式会社(JAMSS)は4月11日、同社と東京理科大学・東京農工大学の共同開発による光触媒空気浄化装置が、国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられたことを発表しました。

今回開発された光触媒空気浄化装置は、アメリカのアクシオム・スペースによる初の民間主導ISS滞在ミッション「Ax-1」のクルー4名とともにスペースXの有人宇宙船「クルードラゴン」に搭載され、日本時間2022年4月9日にISSへ到着しました。JAMSSによると、ISSに運ばれた光触媒空気浄化装置は「光触媒を用いた空気浄化装置の技術実証」に用いられます。

【▲ ケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられた「Ax-1」ミッションの「ファルコン9」ロケット(Credit: SpaceX/Axiom Space)】

光触媒とは、光を当てることで触媒作用(他の物質が反応するのを助ける働き)を示す物質のこと。光触媒を使うと、“臭い”の原因となる揮発性有機化合物(VOC、メタンやアセトアルデヒドなど)や菌類を、無害な水や二酸化炭素等に分解することができます。

昨今は民間の宇宙旅行ビジネスが本格化しつつありますが、宇宙船や宇宙ステーションは決して広いとはいえない閉鎖空間です。JAMSSによれば、閉鎖空間ではVOCが蓄積していくことが知られているといいます。

民間の旅行者が宇宙に滞在する際の生活の質(QOL:Quality of Life)を向上させるにあたり、設置の容易な空気浄化装置が必要だと考えたJAMSSは光触媒に着目。同社は2021年に東京理科大学および東京農工大学と共同研究契約を締結し、技術実証用の装置開発を進めていました。

【▲ 国際宇宙ステーション(ISS)船内に設置された2台の装置(Credit: NASA/Axiom)】

今回ISSに運ばれたのは、宇宙用に開発された新型の光触媒フィルターおよびLEDが組み込まれた装置と、LEDを省いた対照実験用の装置の合計2つ。JAMSSによると、装置は4月11日にISS船内へ設置されました。Ax-1のクルーはISSに約8日間滞在した後で一足先に地球へ帰還しますが、この装置はISSで約1か月間運用された後に回収され、結果が評価される予定です。

なお、Ax-1では25以上の科学研究や実験、技術試験、アウトリーチ活動などが予定されていますが、JAMSSによればAx-1でミッションを行う日本国内の企業はJAMSSのみとされています。同社はアクシオム・スペースと2017年に覚書(MOU)を結んでおり、今回の実験は事業協力の第一歩となりました。

光触媒技術は日本で開発された技術で、構造のシンプルさとメンテナンスフリーという特徴があります。JAMSSは「日本がリードする技術で民間宇宙旅行時代を支えるため、国際的にも競争優位性のある技術確立を目指す」とコメントしています(※東京理科大学および東京農工大学との共同研究契約締結を発表した2021年2月のプレスリリースより)。

 

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Source

  • Image Credit: JAMSS, SpaceX, NASA, Axiom Space
  • JAMSS - JAMSS×理科大×農工大 初の民間宇宙飛行士ミッション(Ax-1)にて“国内初”実証試験
  • JAMSS - JAMSS × Axiom Space社 快適な宇宙旅行に向けた空気浄化装置の技術実証で合意
  • PR TIMES - JAMSS × 理科大 × 農工大 初の民間宇宙飛行士ミッションにて"国内初"実証試験
  • PR TIMES - JAMSS×理科大×農工大、宇宙空間における空気清浄化技術実証開始
  • NASA - JAMSS Photocatalyst

文/出口隼詩