スペースXは現地時間4月8日、同社の有人宇宙船「クルードラゴン」を用いたアメリカの民間宇宙企業アクシオム・スペース(Axiom Space、アクシオン・スペースとも)による「Ax-1」ミッションの打ち上げに成功しました。

Ax-1ミッションでは4名の民間人が国際宇宙ステーション(ISS)に滞在します。民間人クルーだけで構成されたチームがISSに滞在するのは今回が初めてです。

ケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられた「Ax-1」ミッションの「ファルコン9」ロケット(Credit: SpaceX/Axiom Space)

【▲ ケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられた「Ax-1」ミッションの「ファルコン9」ロケット(Credit: SpaceX/Axiom Space)】

Ax-1でコマンダー(船長)を務めるマイケル・ロペズ-アレグリア氏は、元アメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士です。同氏はこれまでにスペースシャトルによるミッション3回とソユーズ宇宙船によるミッション1回を経験しており、今回が5回目の宇宙飛行。2000年10月の「STS-92」ミッションでは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若田光一宇宙飛行士と一緒に飛行しています。現在はアクシオム社の副社長を務めているロペズ-アレグリア氏は、国家と民間の有人宇宙飛行ミッションに参加した初の人物となりました。

Ax-1ミッションのクルー。左から:マーク・パティ氏、ラリー・コナー氏、マイケル・ロペズ-アレグリア氏、エイタン・スティッベ氏(Credit: SpaceX/Axiom Space)

【▲ Ax-1ミッションのクルー。左から:マーク・パティ氏、ラリー・コナー氏、マイケル・ロペズ-アレグリア氏、エイタン・スティッベ氏(Credit: SpaceX/Axiom Space)】

また、Ax-1のパイロットは様々な航空機の飛行経験を有する起業家・投資家のラリー・コナー氏が務めます。ミッションスペシャリストはカナダの投資会社のCEO兼会長を務めるマーク・パティ氏と、投資ファンドVital Capitalの創設メンバーであるエイタン・スティッベ氏の2名です。ロペズ-アレグリア氏以外の3名は、いずれも初の宇宙飛行となります。

Ax-1は10日間に渡るミッションで、4名はISSに8日間滞在した後にフロリダ沖へ着水します。ISSの滞在中には25以上の科学研究や実験、技術試験、アウトリーチ活動などが行われる予定です。気になる今回の宇宙旅行の費用について、海外メディアのSpaceNewsは一人当たり推定約5500万ドル(約69億円)と報じています。

ISSの「ハーモニー」モジュールに集合したAx-1ミッションのクルー4名(中央奥)と第67時長期滞在クルーの7名(Credit: NASA)

【▲ ISSの「ハーモニー」モジュールに集合したAx-1ミッションのクルー4名(中央奥)と第67時長期滞在クルーの7名(Credit: NASA)】

4名を乗せたクルードラゴン「エンデバー(Endeavour)」は、米国東部夏時間2022年4月8日11時17分に米国フロリダ州のケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられました。エンデバーは打ち上げから約21時間後にISSへ到着し、米国東部夏時間4月9日8時29分にISSの「ハーモニー」モジュールへのドッキングに成功。同日10時13分にはハッチが開かれ、4名は第67次長期滞在クルー7名の歓迎を受けました。現在ISSには11人のクルーが滞在しています。

クルードラゴン「エンデバー」は、これまでにもクルードラゴンの有人試験飛行ミッション「Demo-2」(2020年5月打ち上げ)や、2回目の有人運用飛行ミッション「Crew-2」で用いられています。Crew-2ミッションではJAXAの星出彰彦宇宙飛行士も搭乗した機体です。

ISSの「ハーモニー」モジュールにドッキングしたクルードラゴン「エンデバー」。アクシオム・スペースのロゴが描かれている(Credit: Axiom Space)

【▲ ISSの「ハーモニー」モジュールにドッキングしたクルードラゴン「エンデバー」。アクシオム・スペースのロゴが描かれている(Credit: Axiom Space)】

また、エンデバーを打ち上げた「ファルコン9」ロケットの第1段機体は、今回が5回目の使用となりました。この第1段機体は2021年9月に実施された民間宇宙旅行ミッション「Inspiration 4」をはじめ、GPS衛星の打ち上げ2回、スターリンク衛星の打ち上げで使用されてきました。第1段機体は第2段の切り離し後に大西洋上で待機していた無人ドローン船A Shortfall of Gravitasに着陸したということです。

39A射点の発射台に立つファルコン9ロケット。第1段機体の使用は今回が5回目(Credit: SpaceX/Axiom Space)

【▲ 39A射点の発射台に立つファルコン9ロケット。第1段機体の使用は今回が5回目(Credit: SpaceX/Axiom Space)】

なお、クルードラゴン「エンデバー」がISSに接近した際、エンデバーの機体中心線上に設置されているカメラからの映像をISS側のクルーが受信できないという問題が発生したため、エンデバーのドッキングは予定時刻よりも約45分遅れました。NASAやアクシオム・スペースによると、この問題はスペースXの地上局を使って映像を中継することで解消し、ドッキングを行うことができたとのことです。

 

関連:スペースXの「クルードラゴン」で民間初の船外活動実施へ、宇宙飛行ミッション「ポラリス」発表

Source

  • Image Credit: SpaceX, Axiom Space
  • NASA - Axiom Private Astronauts Headed to International Space Station
  • Axiom Space - Ax-1 mission launches successfully; 4 private astronauts en route to space station
  • Axiom Space - Ax-1, first all-private astronaut mission to the International Space Station, docks
  • SpaceX - AX-1 MISSION
  • SpaceNews - Axiom mission arrives at ISS
  • SpaceNews - SpaceX launches commercial mission to ISS
  • JAXA - 米国商業有人宇宙船 クルードラゴン(Ax-1)ミッション

文/出口隼詩