こちらは現地時間3月16日に公開されたアメリカ航空宇宙局(NASA)の新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」初号機の画像です。オレンジ色の断熱材に覆われたコアステージの手前に見える白く塗装された固体燃料ロケットブースターの表面には、特徴的な書体で赤く「NASA」のロゴが記されています。
これは「Worm(ワーム)」と呼ばれるロゴで、1975年から1992年までの17年間、NASAを象徴するロゴとして幅広く使われてきました。1990年に打ち上げられた「ハッブル」宇宙望遠鏡にもワームロゴが使われています。ところが、1992年以降はワーム登場以前に用いられていた「Meatball(ミートボール)」と呼ばれる丸いロゴが再び使用されるようになり、ワームロゴは衣類など一部でしか使われなくなっていました。
ワームロゴはしばらくNASAの表舞台から遠ざかっていましたが、2020年5月に実施されたスペースXの有人宇宙船「クルードラゴン」初の有人飛行ミッション「Demo-2(デモ2)」で28年ぶりに復活。その後のクルードラゴンによるISSへの飛行でもワームロゴは「ファルコン9」ロケットに描かれ続けています。
そして2020年10月には、NASAが進めている有人月面探査計画「アルテミス」初のミッションとなる「アルテミス1」にもワームロゴが用いられることが発表されました。アルテミス1は新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の無人テスト飛行にあたるミッションで、冒頭に掲載したSLS初号機が打ち上げに用いられます。
アルテミス1では、ワームロゴはオリオン宇宙船やSLSの固体燃料ロケットブースターに描かれています。ブースターはあらかじめワームロゴを塗装した状態で組み立てられましたが、ロゴの位置には配線とそれを覆うカバーが取り付けられるため、組み立て作業が完了してから塗装が仕上げられたといいます。
SLS初号機は日本時間2022年3月18日にロールアウト(射点への移動作業)が実施される予定です。ロールアウトを終えたSLS初号機はケネディ宇宙センターの39B射点でウェットドレスリハーサル(推進剤の充填など打ち上げの状況を模した本番前のリハーサル)を行った後、2022年4月以降に打ち上げられる見込みです。
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- Image Credit: NASA/Kim Shiflett
- NASA - NASA ‘Worm’ Added to Moon Rocket Boosters
文/松村武宏