【▲ ジェット推進研究所(JPL)のクリーンルームで一部が展開された小惑星探査機「Psyche(サイキ)」の太陽電池アレイ(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

こちらはアメリカ航空宇宙局・ジェット推進研究所(NASA/JPL)のクリーンルームで組み立て作業が進められている小惑星探査機「Psyche(サイキ)」です。サイキは火星と木星の間に広がる小惑星帯を公転する小惑星「プシケ」(16 Psyche)の周回探査を目的に開発されました。

画像は、サイキに取り付けられる巨大な2枚の太陽電池アレイのうち、片方の展開テストが行われた際に撮影されました。サイキの太陽電池アレイは5つに分割されたパネルを十字形に配列した構造になっていて、打ち上げから約1時間後に宇宙空間で展開されます。

展開後の太陽電池アレイの寸法は長さ11.3m・幅7.3m。2枚の太陽電池アレイを展開し終えると、サイキの幅はテニスコートの縦方向の長さとほぼ同じ24.7mに達します。

【▲ JPLのクリーンルームで実施された太陽電池アレイ展開テストの様子(英語)】
(Credit: NASA/JPL-Caltech)

この太陽電池アレイは、サイキの太陽電気推進(SEP:Solar Electric Propulsion)システムの一部としてマクサー・テクノロジーズが製造を担当しました。JPLによると、同研究所で組み立てられた探査機の太陽電池アレイとしては最大とされています。面積は2枚合わせて75平方mで、地球近傍では21キロワットの発電能力がありますが、地球よりも太陽から遠い小惑星帯では約2キロワットまで低下するといいます。

JPLで実施されたテストでは設備や構造上の都合により、サイキの太陽電池アレイを構成する5枚のパネルのうち3枚のパネルが展開されました。製造元のマクサーに戻された太陽電池アレイは、残る2枚のパネルの展開テストなどを受けた後に、ケネディ宇宙センターで探査機本体へ再び取り付けられて打ち上げの時を待つことになります。

サイキはスペースXの「ファルコン・ヘビー」ロケットを使って2022年8月に打ち上げられ、プシケには2026年に到着する予定です。

小惑星探査機「Psyche(サイキ)」の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/Peter Rubin)

【▲ 小惑星探査機「Psyche(サイキ)」の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/Peter Rubin)】

サイキが約24億kmの旅路の果てに到達する小惑星プシケ(最大直径280km)は、鉄やニッケルといった金属を豊富に含む「M型小惑星」に分類されています。

プシケの正体は内部が溶融して鉄(コア、核)と岩石(マントル)に分化した後の原始惑星のコアであり、他の天体と衝突して外側が失われた結果、金属質のコアがむき出しになったのではないかと予想されてきました。そのいっぽうで、従来の予想よりもプシケの空隙率(土壌や岩石などに含まれる隙間の体積割合)は高く、コアそのままの姿ではなく瓦礫が集まってできたラブルパイル天体に近いのではないかとする研究成果も2021年に発表されています。

太陽系初期の原始惑星のコアだった可能性もあるプシケの観測を通して、地球型惑星の形成に関する貴重な情報が得られると期待されています。

【▲ 小惑星プシケの想像図(金属と岩が大まかに分かれていると想定)(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/Peter Rubin)】

 

※探査機およびミッションの名称には「Psyche」の英語読みを用いています

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Source

  • Image Credit: NASA/JPL-Caltech
  • NASA/JPL - NASA’s Psyche Gets Huge Solar Arrays for Trip to Metal-Rich Asteroid

文/松村武宏