ロスコスモスがアリアンスペースとの共同事業を凍結、技術者らを召喚へ
2022年2月にギアナ宇宙センターからワンウェブの通信衛星を打ち上げた「ソユーズ」ロケット(Credit: ESA/CNES/Arianespace)
【▲ 2022年2月にギアナ宇宙センターからワンウェブの通信衛星を打ち上げた「ソユーズ」ロケット(Credit: ESA/CNES/Arianespace)】

ロシアのウクライナ侵攻を理由に欧州連合(EU)が科した制裁を巡り、ロシア国営宇宙企業ロスコスモスのドミトリー・ロゴージン長官は2月26日に、ロシアは欧州宇宙機関(ESA)のギアナ宇宙センター(フランス領ギアナ)からの「ソユーズ」ロケット打ち上げに関するアリアンスペース社との協力を凍結し、ロシア国籍の技術者らを召喚するとした意向をTwitterにて表明しました。

ロスコスモスのTwitter公式アカウントによると、現在ギアナ宇宙センターにはソユーズロケットの製造元であるTsSKB-プログレス、ソユーズロケットの上段「フレガートMT」を準備したNPOラヴォーチキン、打ち上げ時の地上管制を担うTsENKIの従業員ら87名のロシア国籍の技術者がおり、その去就については現在調整中とされています。

英語圏の宇宙情報メディア「Spaceflight Now」に掲載されている打ち上げスケジュールによると、ソユーズロケットは2022年4月6日に欧州のガリレオ測位衛星2基を打ち上げる予定でした。

欧州とロシアの協力関係によるギアナ宇宙センターからのソユーズロケットの打ち上げは、2011年10月の測位衛星「ガリレオ」初号機・2号機の打ち上げに始まり、過去約10年間に合計27回が実施されており、うち26回が成功していました。

欧州が運用する大型の「アリアン5」ロケットと小型の「ベガ」ロケットの中間的なサイズであるソユーズは、アリアンとベガを補完できるという点で欧州側にメリットがあります。ここ最近では2021年12月5日にガリレオ衛星2基を、2022年に入ってからは2月10日に衛星通信会社「OneWeb(ワンウェブ)」の通信衛星34基の打ち上げにソユーズロケットが用いられ、いずれも成功していました。

 

関連:ワンウェブが衛星網に34機を新たに追加。打ち上げ済みの衛星は総計428機に

Source

  • Image Credit: ESA/CNES/Arianespace
  • SpaceFlightNow - Launch Schedule
  • ESA - Ten years of Soyuz at Europe’s Spaceport
  • Parabolic Arc - Roscosmos Suspends Soyuz Joint Launch Operations From Kourou, Recalls Personnel From Europe’s Spaceport
  • SpaceNews - Russia halts Soyuz launches from French Guiana

文/豊原行宏